世も末

ギリシャ問題に端を発する金融不安が大きな広がりを見せて世界同時株安、同時不況の様相を呈してきた昨今、比較的順調な経済指標を誇るオーストラリアや中国でさえどうなることか先が見えなくなってきているが、この事態がただでさえ景気の悪い日本に重大な影響を及ぼす事になるのは火を見るより明らかであり、もしかすると多くの経済学者が指摘している通り日本は一気に破滅への道をたどるのではないかという最悪のシナリオさえ頭をよぎってしまう。

一言でいってしまえば財政破綻であり、今のギリシャと同じだ。

ギリシャと異なり、さらに悪いのはEU加盟国でもユーロ圏でもないので破綻したところで誰も助けてなどくれない。

以前の韓国のようにIMFの管理下に置かれ、行政サービスから何まで徹底して削られて不便な生活を強いられることになるだろう。

どの経済学者、経済評論家の話しを聞いても一致しているのは、このままの状態が続けば 5年以内に日本は財政破綻するということであり、それを回避する唯一の策は増税しかないという点で、それは消費税 15%前後であろうという線においても意見が揃っている。

このままの状態、それは行政に無駄が多く支出ばかり増えて、少子化に歯止めがかからず人口が減る一方であるため税収も減り、企業はデフレを克服できず国際競争力も衰えて収益が悪化する結果、国が徴収する法人税も減り続けるという現状。

政治家が無能なのでアメリカやヨーロッパのように新エネルギーの創出とか環境産業の育成に向けた国策として方向性を示し、国民が一丸となって目標に向かい、将来の一大産業となることを見据えて投資を呼び込みヒト、モノ、カネを吸い寄せると言うビジョンもなく、中国のように南米やアフリカに資金援助や技術供与をして現エネルギーや資源を確保するという戦略もない。

日本の経済が破綻して円の価値が暴落してしまった場合、原油も天然ガスも高くて買えないので輸入は不可能、60%を依存している食料も買えず、家畜を飼育するための餌すら買えない。

つまり、乱暴な単純計算をすれば現人口の 40%しか日本国内で生活できないことになる。

金の価値が下がるということは悪性のハイパーインフレに陥るということであり、今は 100円で買えるものが 500円になったり 1000円になったりする訳で、生活物資や食料さえも手に入れるのが困難になるだろう。

金の価値が 1/10 になった場合、今日現在で 1バレル(約159リットル)当たり 75ドル(約7000円(1ドル=93円))の原油を約7万円で買わなければならないということだ。

財政が破綻して良いはずがないことは官僚も政治家も分かっている。

そして、日本が危機的状況にあることも分かっている。

それなのになぜ、どうして 「少なくとも4年間は消費税を上げない」 などと言っていられるのか不思議でならない。

これほど危機的な状況にありながら、なぜ日本がギリシャのようにならないのかは、1500兆円にも及ぶ金融資産があるからだと言われるが、それはあくまでも個人資産であって国の借金を肩代わりする担保ではないだろう。

五百三十六歩譲って 1500兆円のおかげだと認めたとしても、何を考えているのか預貯金が流動化しないから個人消費が上向かないと言い出し、どうやって金を使わせるかの議論をする始末。

国民が開き直り、あるいはヤケクソになって金を使い、資産が 1000兆円を割り込んだ途端に海外から信用不安の目で見られて国債が暴落し、前述した破綻の道へまっしぐらとなるだろう。

もう誰もが分かっているように、頭のおかしな官僚とのしがらみを断って無駄遣いを徹底的になくすと同時に公務員の数を減らして減給し、その上で消費税を 7%、10%、15%と 2年おきくらいに段階的に引き上げるしか日本を救う道はないのである。

それができる政治家は鳩山でもなければ谷垣でもなく、それができる政党は民主でも自民でもないように思う。

せっかくの政界再編、新党ブームなのだから、強烈なリーダーシップを発揮して一定期間であればたとえ独裁者的に主導しても構わないので日本を明るい未来に導いてくれる政治家、主導者が現れないだろうか。