初体験

早いもので今日は週末だ。

再来週のことになるが、20日は健康診断を受けに行く。

去年も年末近くに受けているのだが、『お買い物日記』 担当者が大きな病気をして以来、毎年かかさず受診して、万が一にでも何かあった場合でも早期発見ならば何とかなるだろうという思いから、今年も真面目に行くことにしたのである。

胃の具合を診るために去年はレントゲン撮影をしてもらった。

受け付け担当者の言うことにゃ、一年おきにレントゲンと胃カメラを実施したほうが良いらしい。

胃カメラなんぞ生まれてこのかた経験したことがなく、えも言われぬ恐怖感が胃袋のもっと下のほうからオゾオゾと込み上げてきたりするが、レントゲンでは見落とされがちな小さな異常まで発見できる可能性があるとのことなので今年は胃カメラにしてもらったのだが、今は口から入れる他に鼻から入れる少し楽な方法もあるとのこと。

口から入れて苦しそうにしている映像はテレビなどでも見たことがあるので鼻から入れる場合のことを聞いてみると、鼻炎持ちの場合は検査から一週間以上は鼻の痛みと鼻水が続く可能性があるという。

それはもともと鼻炎気味である自分の場合にも当てはまる話なので、それならば検査中は苦しくとも終われば後に苦しみの残らない口からの方が少しはマシなのではないかと思うに至り、決死の覚悟をもって口から入れる胃カメラを選択したのだが、歯の治療でさえゲロゲロ状態になる自分はゲロゲロ状態になって看護師さんに迷惑をかけるのは目にみえている。

歯の型をとるためにペースト状のものを口の中に入れられて固まるまでしばらく待たなければいけないことがあるが、そんな時でさえゲロゲロ状態で目は溢れんばかりの涙できらめき、歯科助手さんが隣で
「もう少しですから頑張ってくださいっ!」
とか
「は、鼻でゆっくり息をして落ち着いてくださいっ!」
などと、まるで出産でもするかのような大騒ぎになってしまう。

鼻で息をせよと言われても、しまいには涙のほかに鼻水まで出かかって、とてもじゃないが鼻呼吸なんかできる状態ではなくなってしまうのである。

子どもの頃、風邪をひいて小児科に行くと金属製の平たい器具で舌を押さえられてノドの奥を見られたものだが、そんなときも必ず 「オエッ」 となっていたし、今でも歯磨きでブラシが奥歯付近にさしかかると 「オ゛エ゛ェェェ~」 となってしまう。

そんな自分が口から内視鏡を挿入され、それがノドを通ったまま何分間も我慢しなければいけないというのは拷問に近く、やってもいない犯行を自白してしまいそうなくらい想像しただけで嘔吐感にさいなまれてしまう。

すでに申し込んでしまったのだから覚悟を決めなければいけないのは分かってはいるが、なかなかまな板の上の鯉のような
「もうどうにでもしてくんな」
的な心境にはなれないでいる。

検査まで二週間をきってどんどん緊張が高まってきており、それに比例して憂鬱度メーターもうなぎのぼりで、すでにレッドゾーンに達しているためメーターを振り切ってしまいそうな勢いだ。

残り数日ともなれば緊張状態は極限にまで達し、胸の鼓動が早まって呼吸もハアハアしてくるかもしれない。

あまりの緊張から夜も眠れず、食欲もなくなってしまうかもしれない。

胃カメラを選択したばかりに、検査を受ける前に病気になってしまいそうな今日この頃である。