現天皇陛下の退位が現実味を帯びてきた今、平成という元号から新しいものへと変わるのも確実となっている。
天皇が亡くなってからだと、カレンダー、手帳業界の印刷物をはじめ、銀行から各行政機関まで様々な書類にある 明・大・昭・平 を選ぶ欄に新元号を慌てて追加せねばならず、印刷業界関係者の睡眠時間が著しく短くなってしまい、その界隈での交通事故件数が跳ね上がる危険性があったりなかったりするかもしれないが、これが今の案にあるように 2019年元旦からと決まっていれば、少しは落ち着いて仕事ができるのではないだろうか。
そこでふと思ったのだが、元号が社名になっている会社は多い。
事実、大正製薬という会社名は、同社が1912年(大正元年)に創業したことに由来している。
明治製菓は元号の明治に由来するものではないらしいが、それでも明治が含まれており、昭和シェル石油となる前の昭和石油も元号の昭和からとったものだろう。
日本に星の数ほどある中小企業の中にも社名に大正、明治、昭和のつく会社は多いだろうし、正、明、昭など、一文字をもらって命名された社名に至っては数えるのに苦労するほど多いに違いない。
しかし、平成の名がつく大会社はない。
もしかすると自分が知らないだけで、ある業界では名の知れた会社が存在するのかもしれないが、少なくとも一般人であっても誰でも知っているような有名企業はないだろう。
平成といえば元年は西暦 1989年で、直後の 1991年にバブル景気が崩壊し、それから平成29年の現在までの 27年間は実感・実態のない程度の好景気しか訪れておらず、長いデフレ期が続いたままとなっている。
政府や日銀は数年前に脱デフレ宣言をしたが、実態としてデフレは終わっておらず、消費者マインドはインフレを拒絶したままの状態だ。
以前から何度も書いているが、デフレなどそう簡単に克服できるものではない。
それまで産業革命で繁栄を謳歌していたイギリスは景気後退が原因で、1870年代前半から1890年代半ばまで、およそ四半世紀に渡って物価の下落が続いた。
それより遥か昔のローマでは 50年間もデフレだったという史実もある。
そんなネガティブマインド状態の日本においては、平成由来の社名をつける気にもならないかもしれない。
すでに26年間もデフレ状態が続いていると仮定するならば、元号が変わるであろう 2019年で 28年目、東京オリンピックが開催される 2020で 29年となる。
30年も経てばデフレの終わりも見えてくるだろうし、オリンピック景気も手伝って日本にも光明が射すことだろう。
だとすれば、次の元号を社名にするケースもそこそこ多いのではないだろうか。
元号の決め方には色々と注意点があるらしく、主には以下の 4点なのだそうだ。
1. 漢字二文字
2. 書きやすい
3. 読みやすい
4. 俗用されていないもの
2 と 3 は子どもでも書けて読めるのが好ましいということだろうし、4 はありふれていないものということである。
それほど画数が多くなく、縁起の良い漢字二文字で構成しなければいけないのだから考えるほうも大変だ。
ウィキペディアに過去の元号一覧が掲載されているが、一文字かぶりはあるものの、同じ元号がないのがすごい。
経済の低迷が続き、好景気らしい好景気の経験もなく、デフレ脱却の意識もなく、世界情勢も不安定で日本の将来に希望が持てない今、次の元号は力強く明るく、そして威勢のよいものにして頂きたい。
『安』、『和』など安心感のある漢字、『永』、『久』などの将来性を感じる漢字、『栄』、『宝』など景気の良さそうな漢字を用いると良いのではないかと勝手に思ったりしているのだが、どうだろう。