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2004年 4月10日

言葉の難しさ その1 言葉の難しさ その1

  言葉というのは難しいものである。 日本語は特に意味も難しいし、使い方も難しい。 言葉遣いを間違うと一瞬にして人を不愉快にさせる場合もあれば、誤解を与えてしまうこともある。さらに、どうしてその漢字が使われているのか解らないことだってある。

  この文章を書き始めてから、すでに何度も使っている 『言葉』 という単語にしても、なぜ ”葉” という文字が含まれるのか解らない。 ことば(詞・辞)に字を当てただけなのか、『こと(言)は(端)』 の ”端” が誤って伝わってしまったのか。 ネットで検索してみても、「言は自分自身の感情、葉は神が宿り・・・」 などという、訳の分からない宗教団体のページに行き当たってしまう。 単に、人はものを言うときに枝葉が付くから ”言葉” なのか・・・。

  言わなくて良い言葉を言ってしまい、人を不愉快にしてしまうことがある。 俗に言う 「それを言っちゃあ、おしめ〜よ」 というやつである。 毎年、8月 6日(広島)、9日(長崎)は原爆記念日で、盛大な追悼セレモニーが開催される。 それに合わせて、平和について考えるテレビ番組が放映されるが、様々な意見が出される中、原爆によって家族を失った人や、被爆者の人が 「被害にあった人にしか分からない」 という意味のことを言ってしまうことがある。

  確かに、突き詰めればその通りなのだが、そういうことを言ってしまうと、それこそ ”おしまい” であり、それを機会に平和について考えてみようとした人の気がそがれてしまうではないか。 なかなか理解してもらえないという苛立ちや、悔しさも解るが、真剣に考えようとしている人たちに 「おまえなんかに分かってたまるか」 的なことを言うのは失礼でもあり、その言葉によって事実に目を向けてもらえなくなるのなら、結果的に歴史が風化してしまうという悲しいことになってしまわないだろうか。

  最近もそれと同じ言葉を聞いた。 オウム裁判で麻原彰晃(松本智津夫)に死刑判決がくだされた日、被害者の遺族がテレビ番組に出演して、「当事者じゃなければ苦しみは分からない」 と言ってしまった。 確かに、確かにその通りなのかもしれないが、(旧)オウムという組織と戦っているのは遺族だけではない。 したがって、やはり 「それを言っちゃあ・・・」 という気分になってしまう。

  逆に、本来であれば言わなければならない事を言わず、変な ”しこり” が心に残る場合もある。 ここ数日、大騒ぎになっているイラク問題で、テロ組織に拘束されてしまった日本人の家族がテレビ出演し、政府の対応への不満を表明したり、自衛隊を撤退させてほしいと訴えている。

  確かに可能であればそうすべきかもしれないし、政府も頼りないのかもしれない。 しかし、何はさておき、渡航自粛勧告や渡航制限が出ていたのにも関わらず、それを無視してイラクに入国してしまったのは事実なのだから、まずは 「お騒がせして申し訳ありません」 とか 「ご心配かけて申し訳ありません」 という一言が必要なのではないだろうか。 そうした上で、自衛隊の撤退をお願いするとか、政府に文句をいうのが ”筋(すじ)” というもののような気がする。

  少し前に磐田市の市長の長女が行方不明になり、事件の可能性も否定できなかったことから大騒ぎになった。 結局は本人が ”自主的に” 家を出たことが判明し、無事に保護されたが、その時の市長の会見でも、「無事で良かった」 とか 「本人も悩んで・・・」 などという言葉しか聞かれなかった。 まずは、単なる家出娘のために世間を騒がせたのだから 「申し訳ありませんでした」 の一言くらい言っても良さそうなものである。

  イラク問題の家族にしても、磐田市長にしても、本当は謝っていて、それがテレビではカットになっているのであれば申し訳ないが、なんだか ”しっくりしない” 気分でテレビ画面を見ている今日この頃なのである。

2004 / 04 / 10 (土) ¦ 固定リンク

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