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2005年11月12日

破滅の音 第二楽章 破滅の音 第二楽章

  それはある日の午後、昼食を終えて社員が公園に集まり、大きな輪を作ってバレーボールで遊んでいるときに何の前兆もなく突然に襲ってきた。 輪が大きくなりすぎたため、その中心に入って低い弾道のバレーボールを拾う役を務めていたときだった。 高々と上がったボールを目で追い、どこまでも青く広がる大空を見上げた瞬間、腰にピリッと電流のようなものが走った。

  先週の雑感に書いた破滅の音とは明らかに異なる、正真正銘のギックリ腰である。 直後から腰周りがモワ〜ンとし始め、やがて痛みへと変わっていった。 ソロリソロリと歩いて会社まで戻ったが、自席に着いたとたんに動けなくなった。 それからが地獄の始まりである。

  たかが空を見上げた程度でギックリ腰になった男の話は鬼のような速さで社内に知れ渡り、総務やら経理やらの社員までが次々にやって来ては指をさして笑っていく。 いつもであれば蹴りのひとつも入れてやるところだが、痛くて席から立ち上がることもできない。

  過去にギックリ腰を経験したと言う先輩がやってきて、「病院に行ったら体を引っ張って治してくれた」 などと言い放ち、数人の社員を集めて荒療治を敢行した。 嫌がる自分を無視して一人は首を持ち、二人で両手を、あと二人で両足を持ったところで、掛け声と共に力の限りに引っ張る。

  ただでさえ痛いところに大人 5人の力で引っ張られた体は悲鳴を上げ、くちからも 「うごぁー!」 とか 「ぶぎゃー!」 とか声にならない声が出てくる。 こともあろうか周りの奴らどもは、そんな自分の姿を見て涙を流さんばかりに笑い転げている。 あまりにも大騒ぎになったため、部長が飛んできて 「何をしてるんだー!仕事中は静かにしろー!!」 と怒鳴り散らす。

  そこで驚いた社員達は慌てて手を離してしまったのでドスンと床に落ちてしまった。 ギックリ腰で痛いは、引っ張られて痛いは、部長に叱られるは、落とされるはで散々である。 みんなは慌てて解散してしまったので、這うようにして自席に戻ったが、腰の痛みは増すばかりである。

  その夜は何日も前から酒を飲みに行く約束をしていたのだが、現在のように携帯電話が普及していなかったのでキャンセルすらできない。 とりあえずは顔だけ出して事情を話し、家に帰ろうと思っていたのだが、ギックリ腰の男は絶好の酒のツマミとなってしまい、居酒屋の畳に寝かされて皆がそれを見ながら楽しい酒を酌み交わすという最悪の事態に陥ってしまった。

  ただ寝転がっているのもつまらないので、食べ物を口に入れてもらったり、ストローで日本酒を飲んだりしながら最後まで酒宴に付き合うことになった。 タクシーに押し込まれるようにして乗せられ、帰宅したのは深夜である。 その酒が致命傷になったのか、皆に引っ張られたのが致命傷になったのか、症状はどんどん悪化し、痛くて眠ることも寝返りをうつこともできない。

  それから数日は会社を休むことになり、地獄の日々はさらに続いていくのだった ・ ・ ・ つづく。

2005 / 11 / 12 (土) ¦ 固定リンク

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