2002年 5月12日
嗚呼日本人3 嗚呼日本人3
ワールドカップまで 20日を切り、いよいよ秒読みの段階に入ってきた。サッカーファン、試合会場やキャンプ誘致先を含む関係者の間では、さぞかし盛り上がっているに違いない。もちろん放映権が絡んでいる TV局なども準備に余念がないところなのであろうが、逆(マイナス)の意味で警備に当る人たちや警察関連も緊張が高まってきているに違いない。
大阪は阪神が好調で、そちらに気を取られているせいなのか大きな盛り上がりを見せていないような気がする。実は自分もそれほどサッカーに興味がある訳ではないので TV各局が 「ワールドカップまであとテ療欄�!」 などとムードを盛り上げようとしているのを見ても 「ふ〜ん」 と思う程度なのである。
確かにワールドカップが自国で開催されるのは数十年に一度しかないことなので、生きている間に二度とはお目にかかれない行事なのであろうが、サッカーという競技そのものに魅力を感じないのでイマイチ気分が盛り上がらない。同じように感じている人はきっと大勢いると想像できるが、いざ大会が始まると、そこは日本人の ”悲しい性” で ”にわかサッカーファン” が巷にあふれ出すのであろう。
普段はサッカーのことなど話もしないのに誰々のアシストが良かっただの悪かっただのと、さも詳しいように語り出す奴が湧いて出てくるに違いない。まあ、日本人である以上、日本のチームが勝ち進んでくれた方が嬉しいし、試合がある以上は結果も気にするのであろうが、始まるのを心待ちにしているのとは程遠い。それどころか、あの耳障りな実況を聞かされると思うと逆に憂鬱になってしまうくらいなのだ。
以前の雑感にも書いたが、サッカーに限らずスポーツの中継はいつからあんなに騒がしいものになったのだろう。あまにもウルサイので TVの音を消して中継を観たくなるほどだ。オリンピックの中継を観ていても頭の悪そうな解説者までが 「やった〜!」 とか叫んでいる。どこぞの ”おやじ” が茶の間で晩酌をしながら TVを観ているのと変わらないではないか。
それはさておき、自分が何故サッカーに興味が持てないのかと考えてみたところ、サッカーに限らず時間制の競技にはあまり関心がないことに気がついた。バスケットボール、アイスホッケーなどなど、ゲームの終わりが時間で区切られているスポーツにはあまり関心がない。ボーリングであれば 10フレームで終わり、ゴルフであれば 18番ホール、野球であれば 9回までと決まっている。
それらのスポーツは過去にブームになったことからも日本人の体質や気質に合っているのかもしれない。回数やステージに制限があり、その中で相手とどのように戦うのかを観るのが好きなのだろう。サッカーなどは ”時間” という制限があるものの、状況がどうであれ時間になれば 「ハイ、終わり」 「勝ったのはコッチ」 という感じなので味気がないような気がする。
時間に関係なく 「次が最後の攻撃」 とか 「ここで点を入れられたら終わり」、「このパットを入れれば優勝」 などと勝敗の結論がハッキリしている方が観ていても緊張感がある。野球であれば 4点差、5点差があっても最終回で逆転することはある程度可能だが、サッカーの場合は 4点も 5点も差があり、それを残り時間 10分で逆転するのは不可能に近い。
したがって試合終了近くに、今は勝っているけど逆転されるかもしれない。逆に負けているけど逆転できるかもしれないという醍醐味が得られないように思う。サッカーファンに石を投げられそうだが、個人的には嫌いではないにせよ、そんなこんなの理由からイマイチ没頭できないのだろうと分析している。
勝敗の結論がハッキリしているにも関わらずバレーボールは好きになれない。「先に何点入れた方が勝ち」 と決まっていて、大きな点差があっても逆転が可能であるから、上述した分析の結果から言っても好きになって当然のスポーツなのであるが、これは数あるスポーツの中で唯一 ”嫌い” なスポーツなのだ。特に競技そのものが嫌いなわけではなく、中継と観客が嫌いなのである。
国際試合の場合、双方とも ”はなはだしい” ほど日本の応援しかしない。日本に点が入ると会場は 「キャ〜!」 とか 「ギャ〜!」 とかいう黄色い声に包まれる。逆に相手国が点を入れると会場は 「し〜ん」 と静まり返り 「う〜」 という溜息とも唸り声ともつかぬ ”音” が充満する。応援のため遠路はるばる足を運んで来たその国の人だけが僅かに 「パチパチ」 と拍手をする程度である。声援まではしないにせよ、せめて拍手くらいはするべきではないだろうか。
観客もそうならば、中継をしているアナウンサー、解説者までが同じように日本寄りの発言しかしない。日本に点が入ると絶叫し、相手が点を入れると 「あ〜今のスパイクには高さもスピードもありましたね〜」 「ええ、そうですね〜」 と、おざなりな事しか言わない。そんな会場の雰囲気や中継が世界各国で放映されていると思うと顔から火が出るほど恥ずかしくなってしまう。
試合に勝つと観客はお祭り騒ぎになり、中継も絶叫と共に 「よかった、よかった」 と連呼するくせに、負けたとなると葬式の会場のような暗さが漂ってしまう。会場から沸き起こる拍手は勝った相手国を称えるものではなく、負けた日本に対して 「負けちゃったけど、よく頑張ったね」 という労いの拍手が圧倒的に多いと思われる。中継も同じで相手国を誉めることはなく、「いやぁ〜日本も頑張りましたね〜」 「そーですね〜この悔しさをバネに・・・」 などと言っている。
日本人には対戦相手を尊敬したり称えたりする心が不足しているように思えてならないのだが、それが凝縮した形で典型的に表れるのがバレーボールの試合のような気がする。もうすぐ始まるワールドカップでは、そんな ”みっともない” 姿をさらしてほしくないと願うばかりである。日本は空港使用料、宿泊費、食費などの物価が他国と比べて異常に高いので、海外からの応援客はそれほど多くならないと思われる。
圧倒的な人数の差で日本しか応援しないような観客を見せられ、騒がしいだけの実況を聞かされたならば、興味がないどころかサッカーそのものが嫌いになってしまうかもしれない。
2002 / 05 / 12 (日) ¦ 固定リンク