2000年12月03日
マージャン マージャン
20年も前の話なので時効だと思われるが、当時は合法賭博のパチンコと違法賭博のマージャンで生活しているようなものだった。
生活の糧(かて)としていた訳だから両方ともあまり負けなかった。パチンコはその店にいる常連さんから「後で返す」と言いながら玉を「わしづかみ」にして奪い、それを元手にしていたので負けるはずがない。玉が無くなったら「ゴメ〜ン」で済ましていた。
そして夜はマージャンである。多いときは週に 5日はやっていた。元々悪運が強いのか、負ける時は小さく勝つ時は大きく勝っていた。近所に住む十歳も二十歳も年上の寿司屋の大将や商店主を相手にしていたのでレート(賭け金額)も当時としては高額だった。
一般的にマージャンは「1000点いくら」の掛け金になる。当時は「テンピン(1000点100円)」がレートだったので一晩に数万円単位の現金が動く。マージャンは原則として基準点が 3万点で、それ以上になると勝ち、それ以下だと負けとなる。
地方やメンバーによって異なるが、ゲーム開始時には 2万5千点〜2万7千程度の持ち点からスタートとなる。つまり、すでに基準点以下からのスタートである。持ち点が 0 になってしまうと基準点からマイナス 3万点となってしまい、1000点=100円ということは 3千円の負けという具合である。それを何ゲームもやるため、結果的に数万円のお金が動く事になる。
今はまったくやらなくなってしまったが、その当時、とても恐ろしい体験をした事がある。知り合いとマージャンをしようと、雀荘(マージャンができる施設)で待ち合わせをしていた。時間を間違えたのか、他のメンバーがなかなか現れないので一人でボーっと待っていた。
サンマン(通常 4人でするマージャンを 3人でおこなう)をしていた年配の男性が「時間があるなら一局(1ゲーム)やりませんか?」と声をかけてきた。見たところ”その筋”の人には見えなかったが「お金もってませんから」と断った。しかし、「負けても払わなくていいよ」と言われたので「それならば」と参加したのである。
一進一退の攻防が続き、終わった時には 30100点。つまり 100点のプラスだった。先に説明した通り、通常は「1000点いくら」で計算するので 100点の単位は切り捨てられる。「なんとかプラス・マイナス 0点で終わった」と安心していたら、そのおやじが「にいちゃんは+100だから」と言って 5万円を差し出した。
+100点で 5万円もらえるという事は、もし負けてハコ(マイナス 3万点)になっていたら・・・。千五百万円を要求されていたのかもしれない。目が点になってしまい、ぽか〜ん口を開けたまま、震える手で 5万円を受け取り、全速力でその場から逃げ帰った。
待ち合わせをしていた知り合いに電話すると「約束は明日だ!」と罵倒され、意識がもうろうとしたまま家路についたが、どうやって帰ってきたのか全く記憶がない。
あの時の”おやじ”が、単なる大金持ちだったのか、”その筋”の人だったのかは定かではないが、とにかく、今日の命があるのは「悪運が強かったから」としか思えないのである。
2000 / 12 / 03 (日) ¦ 固定リンク