エネルギー政策

先週の雑感の続きのようになってしまうが、計画停電を実施しなければならないのは再稼働した柏崎刈羽原発を除いて日本の原発がすべて停止しているからだが、そもそも原発への依存度が高すぎたからに他ならない。

なぜ原発への依存度が高いかと言えば、日本にはエネルギー資源がなく、火力発電で使用する石油、ガスを輸入に頼らなければいけないからで、急な世界情勢の変化、海路の安全確保などに問題が起こって輸入が途絶えれば途端に発電ができなくなってしまうからだ。

実際、アメリカが発効したイラン原油制裁法で、日本はイラン産の原油輸入量を減らさなければならなくなった。

核開発を進めるイラン許すまじと、原油輸出に打撃を与えて金融面から圧力を強めることを狙ったもので、イランと取り引きした金融機関をアメリカから締め出す制裁を加えるという実に傲慢な法律だが、世界最大の市場であるアメリカには逆らえない。

日本とイランの関係が悪化したわけでも戦争状態になったわけでもないのに、政治的不安定要素で原油の輸入量が減ってしまうわけだ。

今は天然ガスを売りたくて仕方がないのでロシアもニコニコしながら日本に擦り寄って来るが、依存度が高まった途端に態度が急変し、ヨーロッパで起こっているように日本に対しても気に入らないことがあればガスの供給をストップしたりすることだろう。

あの国とは北方領土問題を抱えているだけに関係は微妙だ。

アメリカでシェールガスの開発、採掘技術の飛躍的な向上が進み、天然ガス価格が半値近くまで下落しているが、自由貿易協定(FTA)締結国への輸出が優先されるとの理由から日本に多くは入ってこない。

資源のない日本にとってエネルギーは綱渡り状態となっているが、そもそも本当に日本には資源がないのだろうか。

日本近海に確認されている油田の数は30を超えるが実際に採掘しているのは北海道、新潟県、秋田県に存在する5箇所のみだし、ガス田も11箇所以上が確認されているが、実際に採掘しているのは数カ所のみだ。

また、日本の領海内にはメタンハイドレートと呼ばれる海底資源、簡単に言えば凍っているガスが使用料換算で200年分も眠っている。

それらの資源の採掘は採算が合わないという理由で放置されたり研究が進んでいなかったりするが、原油価格が以前の 4倍も 5倍もになっている現状ではビジネスになるのではないだろうか。

また、最近になって再生可能エネルギー発電に注目が集まり、風力発電、太陽光発電の建設が各地で盛んになっているが、火山大国、温泉大国の日本においては地熱発電が最も適しているのではないかと思う。

しかし、ここで厄介なのは利害関係で、地熱発電所を建設すれば温泉が枯渇するのではないかと地権や温泉権を保有する人が難色を示す。

これだけ全国に温泉地帯がありながら日本に存在する地熱発電は一か所でしかない。

地熱発電に適した候補地の多くが自然公園内にあり、自由に開発を進められないという要因もあるが、景観を維持すれば良いなど、法律を柔軟に対応させれば済む話しだろう。

大阪だか京都だかの大学は宇宙でのソーラー発電に関して画期的な技術を有しており、予算さえあればすぐにでも実現可能なのだが、国は関心を示していない。

確かに数億円規模の話しではないが、原発事故が起これば一瞬にして数兆円規模の予算を投じて事態を収拾しなければならないのだから、未来に予算を回しても良いではないか。

大雨続きで九州地方が大変なことになっているが、水害を防ぐなどという名目でダム建設や堤防の大規模修繕に莫大な予算を計上するくらいなら、ついでにダムにも発電設備、護岸工事では水力発電設備を設けるくらいのことをすべきだろう。

消費税率を上げるのであれば、福祉はもちろんのことだがエネルギー政策にも予算を回していただきたい。

日本各地に再生可能エネルギー発電の施設ができて、原油にもガスにも、そして何より原子力に頼らなくても電力需要をまかなえるようにするくらいの気概を示し、一大産業を築き上げるようなビジョンを提示して日本を率いてくれるような政治家、政党の誕生を心から願うばかりである。