呼び捨て

正確な理由は自分でも分かっていないが、いつの頃からか芸能人、芸人、文化人を問わずテレビに出演している人を呼び捨てにできなくなった。

たぶんここ10年くらいのことだと思うが、直接会って話す訳ではないのに相手に対して失礼なような気がして何となく敬称をつけてしまう。

それは 『お買い物日記』 担当者も同様なので、二人の会話ではテレビの演者を 『さん』 付けすることが多い。

それはなぜかと考えをめぐらせれば、多分に加齢が影響しているのではないかという仮説が自分の中で成り立つ。

最近人気の天才子役、芦田愛菜ちゃんを例に取れば、彼女のことを芦田愛菜と呼び捨てる人は少ないだろう。

それは例え高校生の会話であっても中学生の会話であっても彼女のことを話題にする場合は 『ちゃん』 付けで呼ぶのではないだろうか。

なぜなら彼女は小さな女の子であり、高校生から見ても中学生から見ても子供としての扱いとなるため 『ちゃん』 を付けるのに抵抗がないどころか、むしろ呼び捨てにしにくいのではないかと思われる。

これが AKBのメンバーだったりすると、女の子の場合は多少なりとも嫉妬を含みつつの会話となることと、同世代の芸能人に 『ちゃん』 を付けるのも変であるし 『さん』 などとは呼びたくないので必然的に呼び捨てることになるのではないだろうか。

それと似たようなことが自分にも当てはまり、同世代の芸能人を話題にするときに呼び捨てていたのが当然のこととなって芸能人全般、スポーツ選手、文化人までテレビに出る人すべてが呼び捨てになっていたように思う。

ところが今になって敬称を付与するようになったのは、この歳になると芸能界デビューする多くの人は年下で、今の高校生、中学生から見た芦田愛菜ちゃん、またはそれ以上の年齢差があるため、AKBであってもモー娘。であってもスマイレージであっても所詮は子供でしかなく、呼び捨てするには相手が幼すぎるからではないか。

それがすべてに影響したため、年下であろうと同世代であろうと年長者であろうと敬称をつけて呼ぶようになったのではないかと想像する。

もしかして、そんなことは自分たちだけなのかと思っていたら、つい最近テレビの街頭インタビューを受けていた 10代後半の女の子たちが、テレビ出演している人たちを 『さん』 付けで呼んでいるのを見た。

それは、たまたまインタビューを受けた女の子が呼び捨てにしない主義なのか、今の若い世代は 「人を呼び捨てにしてはいけません」 と厳しく教育されているからなのかは不明だ。

もしかするとジャニーズ系は同じ事務所であろうと先輩であろうと後輩であろうと 『くん』 付けで呼ぶのが慣習なので、それを真似ているうちに敬称を付けるのが当然のこととなったのか。

自分たちの場合、呼び捨てにできなくなったのは最近になって芸能界やスポーツ界で活躍するようになった人たちだけが対象であり、古くからいる人は呼び捨てのままだったりする。

いくら偉くなろうと阪神の監督は和田であって和田さんではないし、元監督は真弓であって真弓さんではない。

原辰徳は原辰徳だし、堀内は堀内、芸能界で言えば、たけし、タモリ、さんまであって松田聖子、小泉今日子、中森明菜である。

どんな大御所だろうと名優、大師匠だろうと昔からの呼び方を改めることは難しい。

それともう一つ、嫌いな奴は年齢を問わず呼び捨てだ。

ガッツ石松に中尾彬に所ジョージ、その他にも色々といるが、奴らを 『さん』 付けで呼ぶことは死ぬまでないだろう。