日本プロ野球

球団を維持し切れなくなった TBSが横浜ベイスターズの売却を決定し、ネット企業である DeNAの参入に同じくネット企業である楽天の三木谷氏が異を唱えている。

氏曰く、
「単刀直入に、不適格だと思う」
「課金システムがある携帯ゲームのプロモーションをしていいのか」
「これではプロ野球のブランドが下がってしまう」
とのことだが、その DeNAが運営している携帯ゲームサイト 『モバゲー』 と熾烈な闘いを繰り広げている、同じようなゲームサイトの 『GREE』 は楽天が設立時に出資していたはずだ。

もちろん三木谷氏の意向、決済なくして出資などできない訳だから携帯ゲームサイト、そしてそのビジネスモデルを認め、評価した結果なのであろう。

その彼が辛辣なコメントを発すると、球団を所有した宣伝効果で DeNAと GREEの差が大きくなってしまうことを警戒しているのではないかと疑われても仕方がない。

楽天がプロ野球に参入する際、ネット企業というだけで継続性を問題視されるなど忸怩たる思いをしたはずなのだから、同じネット企業を暖かい目で見守ってはいかがだろうか。

ジャイアンツはジャイアンツで、お家騒動から醜態をさらす結果となってしまったが、今回の件に関しては渡辺会長派、清武元GM派、どうでもいい派それぞれに様々な評価があるだろう。

自分は、かなり 『どうでもいい派』 寄りの 『清武元GM派』 と言ったところだが、清武元GMを擁護すると言うより 『ナベツネ大嫌い派』 というのが正確なところか。

渡辺会長には厳然とした力があったのは事実だろうが、それは過去のことであって現在におけるプロ野球ファンのジャイアンツ離れもまた厳然としたものであり、過去の栄光にしがみつくのは老害としか言いようがない。

東北大震災直後のプロ野球で大多数のチームが開幕を延期する方針だったにもかかわらず、ナベツネの一声で通常通りの日程にしようとしたのは彼が非常識なのではなく、現状を把握できていないのが原因だと思われる。

渡辺会長は戦後復興の時と同様、野球で巨人が大活躍すれば大衆は熱狂し、震災からの復興への活力になると信じていたに違いない。

その思考はあまりにも古く、現状のジャイアンツ人気がどれほど低迷しているのかすら知らないことと相まって憐れみすら感じてしまう。

その独裁ぶりから彼の周辺にはイエスマンしかおらず、良い情報は即刻伝わるが悪い情報は耳に入らないという典型的な官僚機構的組織が形成されてしまっているものと思われる。

さらに不思議なのはマスコミ各社の対応だ。

日本最大メディアの頂点に君臨する渡辺会長の影響がどれほどのものか知らないが、彼を論ずる際に必ずと言っていいほど
「政財界にも大きな影響力を持つ」
というフレーズが付与される。

確かにそうかもしれないが、なぜ政界に大きな影響力を持つのか、なぜそれほどの力が彼に集中しているのか、そして、たかが民間企業の一個人が政治に大きな影響を及ぼすことが正しいことなのかに関しては誰も触れない。

そして、その影響力から政治の舞台裏で暗躍したり、球団を支配することが周りから忌み嫌われていることをまったく自覚できていない裸の王様状態であることは、良い情報しか伝えないイエスマンに囲まれている限り続くのであろう。

自覚しないまま人生を終える方が老人にとって幸せかもしれないが。

なんだかんだとゴタゴタ続きのプロ野球ではあるが、個人的にはまた来季の開幕を楽しみにしたいと思うし、少し前の雑感で触れたように阪神タイガースと日本ハムファイターズが日本シリーズで顔を合わせる日が来ることを楽しみに待っていようと思う。

今季は大嫌いな中日が日本一にならないことを祈りつつ。