先週末から参加しているプロジェクトでは若い子たちと仕事をしている。
実際の年齢は分からないが、LINEで飛び交うメッセージには若者言葉が多いので、現在の参加者 22名中の 80%以上が 20代、その他も 30代なのではないだろうか。
すっかり爺さんになっているのに参加しているのは自分くらいなものだ。
若い子を相手にしていると、とにかくレスポンスが早い。
LINEでメッセージを送信すると、遅くても 30秒以内、早ければほんの数秒で返信がある。
いったいどうやってメッセージを読み、どうやってタイプしているのかと不思議に思ってしまうほどのスピードだ。
自分も業界歴が長くなったのでキーボードのタイプスピードは遅い方ではない。
むしろ一般の人より早いくらいだとは思う。
それなのにスピードについて行けず、あれよあれよという間に返信しようと思っていたメッセージが画面上部に消え、
「あわわわ」
と焦っているうちに、遥か上まで行っているので必死にスクロールさせて探すという有様だ。
これはもう、タイプスピードがどうしたとかいう次元ではなく、反射神経と動体視力の勝負といった感じである。
次から次に寄せられるメッセージで画面がどんどん変化しても読みこなし、それを目で追いつつも自分のメッセージを高速でタイピングするという芸当を若者はなんなくやり遂げているのだろう。
それだけのことをやりながらも正確に返信してくるのだから、読み流しているのではなくメッセージ内容を理解し、キーボードの誤打も誤変換も少なく返信するのだから神業レベルである。
しかし、それは自分が老いて反射神経や動体視力が低下している証拠でもある。
若かりし頃、自分の親や周りの大人を見て鈍いとかどんくさいと感じていたのと同様、今の若者からすると自分などは十分にノロノロしており、レスポンス速度も遅いと思われているに違いない。
そんなことに対抗心を燃やし、若者言葉を織り交ぜつつ高速にレスポンスするなど愚の骨頂だと思われるので、そこは流れに身を任せて自分にできることを自分のペースでやることにしている。
先週の雑感にも書いたように今やっている作業を大雑把に言うと、寄せられる質問に適宜回答するという内容なのだが、若い子たちは言葉遣いや説明のニュアンスを責任者から度々注意されているようだ。
しかし、自分は今のところその点に関して注意を受けたことはない。
しかし、しかし、若い子たちが 1件あたり 4-5分で返信するところ、自分は 6-7分かかっている。
テレビで地方の高齢者を活用したビジネスを展開している経営者が
「お年寄りはペースがゆっくりでも仕事が丁寧なのでありがたい」
などと言っているのを見たことがあるが、自分もまさにその領域に足を踏み入れたということだろうか。
なんだか寂しい気もしないではないが、この業界は一般の仕事よりも年齢差が如実に現れるので仕方がない。
一昔前、40代になると『初老』と呼ばれていたが、今は一般的に 60代からを指すという。
まだ『お年寄り』とか『高齢者』などと言われる年齢には達していないものの、若者ほどのスピード感はないにせよ、ミスの少ない仕事を丁寧にしていこうと『初老』の後ろ姿が見え始めてきたおっさんは心に誓ったりしているのであった。