ゆとり効果

『ゆとりでしょ? そう言うあなたは バブルでしょ?』
これは第一生命保険が毎年開催し、恒例となっているサラリーマン川柳で 1位となった作品だ。

ゆとり世代の人たちは、
「ゆとり世代だからなぁ」
とか、
「だからゆとり世代のやつらは・・・」
などと、何か失敗したり、同世代の人の行いが悪いと一緒くたにされて上の世代から小馬鹿にされ、忸怩たる思いをしたり、逆に反感を抱いたりしているケースが多いらしい。

バリバリの詰め込み教育を受けた世代にとっては多少のやっかみも覚えつつ、
「最近の若いものは・・・」
と言うのも年寄りっぽいので
「ゆとり世代は・・・」
などと言っているのではないかと思われる。

ゆとり世代とは、ざっくり 2002年度から2010年代初期までの学習指導要領に沿った教育を受けた世代のことで、1987年4月2日~2004年4月1日生まれの 13~30歳(2017年現在)を指す。

今は会社組織に所属していないので、それほど多くの若者と接する機会はないが、それでもお客さんの会社を訪問してその世代らしき人たちと会話することはある。

確かに常識的には考えられないような言葉遣いや態度で接してこられたりしないでもないが、自分も若い頃は十二分に非常識の跳ねっ返りだったこともあり、多少の腹立たしさを覚えつつも若いのだから仕方がないと、最終的には諦めにも近い割り切りをしてしまう。

これが先輩や上司だと、確かに若者の扱いはとても難しいに違いない。

あまり言葉を荒げて叱り飛ばせばパワハラだと言われかねず、心の折れやすい若者であれば出社拒否になったり精神を病んで訴訟沙汰になってはたまらないだろう。

また、最近は先輩や上司にも問題があって、若者ウケの良い、理解のある先輩とか上司でいようとするあまり、多少どころか相当なことにも目をつぶるなど、ろくに注意をしなかったり教育しない場合が多い。

これでは世の中どんどんおかしなことになっていってしまうのではないかと、老齢に向かってまっしぐらな自分としては日本の行く末を憂いたりしてしまう。

しかし、よく考えてみると、その世代の活躍が目覚ましいのも間違いのない事実だ。

ここ数日、世間の話題の中心となっているのは 14歳にしてプロ棋士となり、目下のところ 26連勝中と勢いが止まらない中学生、藤井聡太はバリバリのゆとり世代である。

次々に様々な記録を更新し、現在(2017/6)は世界大会優勝 53回というとんでもない成績をおさめている女子スキージャンプの高梨沙羅も 1996年生まれで超ゆとり世代だ。

数々の実績を示し、惜しくも引退してしまった女子フィギュアスケートの浅田真央(1990年生まれ)もゆとり世代。

現在の卓球界の立役者である福原愛(1988年生まれ)も、世界を相手に堂々と戦っている石川佳純(1993)、伊藤美誠(2000)、平野美宇(2000)などなどもゆとり世代。

男子卓球の水谷隼(1989)、丹羽孝希(1994)や、中学生にして活躍目覚ましい張本智和(2003)もバリバリのゆとり世代。

その他、萩野公介(1994)、入江陵介(1990)、瀬戸大也(1994)を始めとする水泳選手、陸上100mで 10秒を切りそうな桐生祥秀(1995)、ケンブリッジ飛鳥(1993)、最年少Jリーガーの久保建英(2001)もゆとり。

世界に伍して戦えるようになったのは、すべてゆとり世代の活躍以降というケースが多い。

学力低下が叫ばれ、学習指導要領は軌道修正されてしまったが、ゆとり教育が生み出した副産物も多かったのではないだろうか。

その学力低下も授業日数、時間が減ったことによる副作用と胆略的に考えられているが、実は詰め込み型の教育方法しか身に着けていなかった教える側が、楽しく効率的に学べる手法を導入することを怠り、従来通りの教育法で時間だけが短くなってしまった結果が、学力の低下として現れてしまっただけなのかもしれない。

せっかく長所を伸ばすことができてきたのに、昔ながらの教育になってしまうのは残念だ。

今はスポーツなどでの活躍が目立つゆとり世代だが、彼らが新ビジネスを構築し、世界に打って出て大成功するかもしれない。

もう何十年も登場していない日本の世界企業を創り上げる能力を秘めつつも、その発想力、想像力や創造力が詰め込み教育で失われないことを願う。

ここでもう一度、ゆとり教育とは何だったのか、その効果はどうだったのかを誰か検証してくれないだろうか。

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