今日は通院の日だった。
採血などをする際、間違いがないように名前と生年月日を聞かれる。
処置室に入ると、中にはとても高齢で、とても背の小さなお婆さんが座っており、看護師さんから
「お名前を教えてください」
と聞かれていた。
ところが、看護師さんが何度聞いても
「ヒロくんのお婆ちゃんですよ」
と答える
「そうじゃなくて、あなたの名前は?」
「ヒロくんのお婆ちゃんですよ」
・・・。
今度はゆっくり、はっきりと
「お・な・ま・え・は?」
すると、お婆ちゃんも負けじと
「ヒ・ロ・く・ん・の・・・」
と、ゆっくり、はっきり言い返す
「ヒロくんってだれ?」
との問いかけには、何という質問をするのかとでも言いたげに
「アヤちゃんの子供でしょうが」
と言う。
周りでは
『もうヒロくんのお婆ちゃんで良いではないか』
というムードが支配的になり、看護師さんも諦めて
「はい、ヒロくんのお婆ちゃん採血しますねー」
言うとお婆ちゃんはニコニコしながら腕まくりをした
なんとも穏やかで、優しい空気が流れた瞬間である