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嗚呼日本人 ~目次~

  先週の雑感に日本人が過剰品質を要求する国民であるということを書き、それが日本人であるとも書いたが、正直なところ 「ちょっと異常だな〜」 と思ってしまうこともある。 どれくらい前からか分からないが、日本人はやけに清潔な民族になってしまったようだ。 不潔にしておくよりは清潔な方が良いのは当然であるが、あまり過剰に反応するのもいかがなものか。

  身だしなみは清潔なのに越したことはないが、やれ顔にダニがいるだの、口の中(舌)に雑菌が繁殖しているだのと、心理的に人を追い詰めて商品を買わせようとするのもいかがなものか。 たとえ雑菌が繁殖していたとしても自分の体内の話である。 他人を病気にしてしまうならまだしも、多くの場合は自分自身にすら大きな影響を与えない。”菌” という言葉で不安をあおるのはやめていただきたい。

  いったい何の菌が繁殖するのを前提にしているのか分からないが、やたらと抗菌加工した商品も多い。 浴室のカビを防ぐとか、ある程度は納得できるものもあるが、中には抗菌ソックスだの抗菌タオル、抗菌スーツ、抗菌ストッキング、ボールペン、鉛筆、消しゴムなどなど 「どうだ!!」 と言わんばかりの勢いである。 そんなものに抗菌加工して何になるのだろうと不思議に思ってしまう。

  次から次へと商品化されるところをみると、それなりに売れているのだろうが、そんなに菌を排除したら抵抗力がなくなってしまわないか心配である。 子供の頃から清潔で雑菌のない環境で育てられると、ちょっとした菌にすら抵抗できなくなってしまうのではないだろうか。

  食品でも賞味期限の表示が義務付けられ、それを過ぎると捨ててしまう人も多いだろうが、賞味期限が過ぎたからといって食品が腐るわけではない。 あくまでも風味を損なわず、美味しく食べるための目安でしかない。 ゆえに捨てる必要などないのである。 日本では食べ残しなどによる食物の廃棄が 40%に達しているという。 多くの食物を輸入に頼り、その 40%を廃棄しているのだから訳が分からない。

  自分が子供の頃は、年寄りに育てられたこともあって、食パンにカビが生えた程度では捨てることはなかった。「カビた部分を取れば食べられる」 とか 「焼けば菌は死ぬ」 とか、しまいには 「青カビはペニシリンの材料だ」 などと言いくるめられて、仕方なしにボソボソと食べたものだが、確かにそれが原因でお腹をこわしたことなどなかった。

  今はさすがにカビの生えたパンを食べることはなくなったが、それが果たして良いことなのかは分からない。 廃棄される 40%の食物には、家庭から廃棄されるものもあれば、外食産業から出るものもあるが、コンビニの弁当類が特に多いと聞く。 コンビニでは鮮度を売り物にするため、店舗に陳列して一定以上の時間が経過すると廃棄処分となる。

  世界のあちらこちらで飢餓に苦しんでいる人がいるのに、こんなことで良いのだろうか。 日本の食物の自給率は 40%くらいで、それ以外は輸入しているのだが、そんなに大量に廃棄しているのであれば輸入量を減らして自給率を高めることくらいできそうなものである。 何でも輸入に頼っていると BSE(狂牛病) 問題で牛肉が輸入できなくなったり、残留農薬やら衛生面の問題でアジアからの食品が輸入できなくなったら大問題である。

  いろいろと不安ながらも、深刻な事態にならなければ行動を起こさないのも、日本人らしいと言えば日本人らしいのではあるが。

嗚呼日本人