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最近の若い者は ~目次~

新年もまだ明けたばかりで今日はまだ三箇日の最中であるこの時期にボヤきたくはないが、年末年始のテレビを見ていて腹に据えかねるというか、呆れて物が言えないというか、オッサンには信じられない種族が世に繁殖している事実に驚き、新年早々だというのに腰を抜かしてそのままギックリ腰になってしまうのではないかと思ってしまった。

もちろん昔と今は時代も背景も子育ても親子関係も何もかもが違っていることは理解しているが、親が子を思う気持ち、子が親に向ける感情にそれほど大きな違いがあるとは思っていなかったのだが、どうやら昔と今では雲泥の差があるらしい。

自分が子供の頃、思春期の頃は親が鬱陶しくて仕方がなかった。

それは男女に大きな差はなく、男子も女子もそれぞれに親を疎ましく思っていたもので、母親と何日も口を利いていない女子も相当数を占めていたものだが、今の母娘は実に仲が良い。

休日に母親と買い物に行くのはもちろん、食べ物の違いなのか美容技術なのか分からないが昔の親より遥かに若く見える母親と着る服を共有したり、同じ美容室に行ったりしているという。

その程度であれば少数派ではあるものの昔の女子にもいることはいたが、父親と仲が良い女子など皆無に近く、父親は家にいないほうが良いとか、ウザいとか、臭いとか、死ねとか言っており、汚いから父親の下着と自分の下着を一緒に洗濯しないでほしいとまで言っていたものだ。

ところが、ところがである。

最近の女子中学生や女子高生にインタビューする番組を見ていると、父親をどう思うか聞かれて 「好きですよ」 とか 「仲良いですよ」 と答える子がとても多いのに驚かされた。

父親と買い物に行ったり外食したりするのも嫌々ではなく嬉々として行っているようだし、AKB48などのアイドル好きの父親を持つ娘は嫉妬したりしている。

時代は変わるものではあるが、いつの間に娘と親は、まして娘と父親はこれほど理解し合い、仲が良くなったのか不思議でならない。

年頃の娘を持つ親といえば、親を、特に父親を毛嫌いしていた世代であり、自分たちがそうだったのに、なぜ子供を手なずけることができるのか。

いや、自分たちがそうだったからこそ親の欠点、弱点を知っており、それを抑えて娘世代にすり寄って嫌われないよう細心の注意を払っているのだろう。

つまり、親が厳格なものでなくなり、子どもたちに嫌われないよう子どもたちに合わせているというのが実情であって、子が嫌がるようなことを言わず、鬱陶しいと思われるようなしつけも注意もしなくなってしまったに違いない。

子どもと仲良く過ごすのは良いが、それに重点を置くあまり、まともなしつけも教育もできていないのであれば日本の未来はどうなってしまうのか心配だ。

そして何より正月早々にもかかわらず怒りを通り越して気持ち悪さや不気味さを感じているのは、男子と母親の関係についてである。

それこそ今から25年くらい前、バブルの絶頂期から崩壊にかけての 1980年代後半から 90年の前半はチャラチャラした男が多かったし、親から買い与えられた車を乗り回してはいたものの、今ほど母親と仲良くなどしていなかった。

むしろ母親と仲が良かったり母親のことを気にしたり言いつけを守ったりしているような男はマザコンの烙印を押され、女性から相手にされないどころか同性の友だちからも馬鹿にされたりしていたものである。

ところが今は母親と仲が良い男性はきっと女性にも優しいに違いないと思われているのだそうで、むしろそういう男性を好む女性が増えているというのだから驚きだ。

テレビ収録に来ていた男性が誇らしげに母親との仲を自慢しているのを見て、オッサンの背中には 283匹分ほどの虫ずが走り、頭のなかで 「馬鹿じゃないのか」 などと毒づいたりしていたのだが、それを容認する女性の発言を聞いて腰が砕けてしまったのは言うまでもない。

以前から大学受験に親と一緒に来る子どもや、大学の案内や説明会に父母同伴で来る子どもを見て 「情けない」 と文句を言い、最近の大学には参観日があると聞いてアゴが床まで落ちてしまうほど開いた口がふさがらなかったりしていたが、数日前の驚きはそれどころではなかった。

そのスタジオに来ていた 19歳の男性は、「今でも母親と風呂に入る」 などとぬかしてオッサンの心を凍りつかせてくれたが、それを隣で聞いていた同世代の女性がさして驚いていなかった事実を目にするに至っては、つくづく隔世の感を禁じ得なかったのである。

確かに親不孝ばかりしている訳にもいかないので母親を大切にするのは良いことかもしれないが、親を大切にするのと親離れできていないのは別次元の話であって、母親と混浴する成人直前の男がまともだとは思えないのはオッサンの頭が硬いのが原因ではないだろう。

そして先の話と同様に、こういう子どもを育てたのは男を選ぶ際にマザコンは嫌だ、気持ち悪いと言っていた世代だというのが何とも不思議だ。

子どもに嫌われないよう、ろくに教育しない親に育てられ、選挙権を持つようになっても母親と風呂に入っているような子どもたちに日本の将来を託さなければいけないと思うとあまりに悲しく、涙でにじんだ目では、ますます日本の将来が見えなくなってしまう。

戦うことを忘れ、自分の身も守れない種族となってしまった日本人が、経済力も国際競争力も失い、二流国、三流国へと転落し、世界から見て貧しい国になる前に自分の寿命が尽きるであろうことがせめてもの救いか。

最近の若い者は