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ここ数日の話題になっている 『アイス・バケツ・チャレンジ(氷水バケツ)』 は、自然発生的にネットの世界で広まった、難病の筋委縮性側索硬化症(ALS)の患者支援と認知度向上のため、ソーシャル・メディア(SNS)上で指名された人が 『寄付をするか頭から氷水をかぶるか』 を選んで実行するキャンペーンだ。

フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグ氏、マイクロソフト元会長のビル・ゲイツ氏、ケネディ一族 20名以上やブッシュ元大統領など、そうそうたる面々が次々に動画を公開し、同時に寄付も行っている。

その映像から他意を感じることはないが、日本の経営者や著名人、政治家の映像は見ていて腹立たしいものが多いのはなぜなのか。

素直に見ることができるのは歌手の浜崎あゆみ氏、サッカー選手の香川真司氏、野球選手の田中将大氏くらいなもので、みんなの党代表の浅尾慶一郎氏、楽天の三木谷氏とその面々、ソフトバンクの孫正義氏らが報道陣のカメラに囲まれて氷水をかぶっているのを見ると虫酸が走る。

こういうものは少数のスタッフ、または友人などに撮影をたのみ、こっそり動画をアップするのがオシャレなのであって、
「今から話題になっている氷水バケツやっちゃいま~す」
的なノリでテレビ局や報道陣を集め、ニコニコしながらカメラ目線でやるものではないだろうし、そんなことをされても心には一切響いてこない。

3年前に発生した東日本大震災の時もそうだった。

台湾からの義援金が 200億円を超えたことが伝えられた時、同じ中国系でありながら反日感情をあらわにする本土とは異なり、親日家が多いお国柄とその善意に心から感謝したものだが、なんとその直後にソフトバンクの孫正義氏は個人のポケットマネーで100億円寄付すると発表したのである。

台湾の人たちがみんなでお金を出し合い、200億円を送ってくれた直後に発表することだろうか。

まして、孫氏の発表は 『寄付した』 ではなく、これから 『寄付する』 という内容であり、実際には 10億とか数億単位に分割されたものが翌2012年までに寄付された。

もちろん寄付したことに変わりはないし、その行為自体は褒められることであろうが、なぜあの時期に、まだ寄付してもいないのに、金額だけをマスコミに大々的に発表する必要があったのかという疑問が浮かぶ。

東日本大震災では多くの芸能人、著名人が寄付をしたが、大物になればなるほど大々的な公表は避け、後になって判明するケースが多かった。

その名前や支援方法などについては、こちらのブログに詳しくまとめられているが、ここに名はなくとも匿名で寄付した人も多いはずだ。

事実、黒柳徹子氏の名前が挙げられていないが、何かの番組で寄付したことを本人が認めていたし、ビートたけし氏も記されているように所ジョージ氏と 2人で 1000万ではなく、匿名でもっと寄付していると何かで聞いたことがある。

きっと高倉健氏だって吉永小百合氏だって歌舞伎界の大物や落語会の大物、大相撲の力士だって寄付しているに違いないし、中堅や若手のお笑い芸人にもひそかに寄付したり支援活動をしている人はいるだろう。

それを偉そうに公表しないのがオシャレなのである。

それを人の注目を集めてでしか実行できない人は虚栄心のかたまりであり、自己の虚栄心を満足させるための行為であるように思え、心から尊敬することができない。

もし自分にアイス・バケツ・チャレンジの指名が来たなら、心臓に難があるので氷水をかぶることはできないが、心ばかりの寄付を、こっそりとさせていただこうかと思う。

有名人から指名されるはずも、記者会見など開かれるはずもないのは分かっているが・・・。