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血筋血筋

血は争えないものである。

そう、子どもが父母から気質・性向を受け継いでいることは否定しようがない。

それはとなりの店の一家を見ていても良く分かる。

お父さんは片付けが得意ではないらしく、外出から帰ってきて家の前に自転車を置いたまま放ったらかしにし、雨ざらしになったり放置したまま次の日の朝を迎えることも珍しくなかった。

その自転車を新しくしてからは少し気を使うようになったようだが、それでも鍵をかけずに放置しておき、それに気づいたお兄ちゃんが鍵をしている姿も度々目に入る。

そのお兄ちゃんはお母さんの血を引いたのか、定期的に洗車をするし、物置から出したものは使い終わるとすぐに片付けるようだ。

たまに裏庭で一家揃ってバーベキューなどしているが、食べ終わって後片付けをするのもお兄ちゃんが率先してやっている。

お父さんの血をモロに引いているのは妹ちゃんだ。

自室の窓に洗濯物を下げることがあるのだが、それはどう考えても乾いているはずなのに取り込まれることはない。

何日でも、ともすれば一週間でも二週間でも窓際にかかりっぱなしで、なくなる時は妹ちゃんがそれを着た時だと思われる。

そして、残念なことに、父 → 娘の血は、確実にマユちゃんも受け継いでいるようだ。

部屋の窓に洗濯物を干したりはしていないし、あんなにしっかりしているマユちゃんではあるものの、帰省していて札幌に帰る際、自室の窓を開けたまま行ってしまったことがあり、その後に降りだした雨で我が家が窓を閉めようとしたところ、強風に揺れるマユちゃんの部屋のカーテンに気づき、慌てて妹ちゃんに教えに走ったことがある。

それ以外の細かなことでも、しっかりしているようで、どこか抜けているようで、それを見ていると 「ああ親子なんだなぁ」 とつくづく思う。

また、自動車運転に関しても見事に血筋が出るようで、お父さん、お兄ちゃんの場合はドアを閉めてからニ、三拍おいて発車するが、妹ちゃんとマユちゃんだと一拍もおかずに発車する。

そして、アクセルの踏み込み具合までそっくりなので、エンジン音を聞いただけでは誰が出かけたのか区別できない。

運転免許を取得した直後は運転の練習のため、毎晩のように母娘が二人揃ってドライブに行っていたので運転の仕方が似るのは当然のことかも知れないが、それにしても完コピしたかのように同じなのは運転のクセがそっくりなのであり、それは血のなせる技なのではないかと思う。

以前の雑感にも書いたように、マユちゃんの天性の明るさや人懐っこさ、愛想の良さは客商売をしてきた親子の血であろうし、本人は気にしてダイエットしているようだが、そんなことを気にする必要などないくらい体の線が細いのも祖母 → 母 → 娘と継いだ血筋だと思われる。

お買い物日記』 担当者の血筋に関しては以前の雑感に何度も書いたが、二人の兄と誰がどう見てもきょうだいに間違いないと言うほど顔が似ているし、ちょっとした仕草や表情もそっくりだ。

そして極めつけは寝姿で、暖かい時は三人とも手を上げて、バンザイ姿勢で寝る。

残念ながら次兄は若くして亡くなってしまったが、生きていて、そして近くに住んでいたならまだまだ似ているところが見つかったことだろう。

自分は父の血を確実に継承しているという自覚がある。

母は下戸で父は大酒飲み。

その酒がたたって命を落としたようなものだから、それを反面教師として深酒も毎日の飲酒もしないように心がけてはいるが、その気になれば自分でもビックリするほど飲むことができる。

かなり飲んでも、どれだけ飲んでも記憶をなくしたことはないし、酔いつぶれて他人に迷惑をかけたこともなく、吐くまで飲んだことも数えるほどしかないと思う。

相当量を飲めば酔いもまわり、声が大きくなったり陽気になったりするが、それすらも滅多になく、最初から最後まで変わることなく淡々と飲んでいる。

同じ飲むならポリフェノールを摂取できる赤ワインが良いのではないかと 『お買い物日記』 担当者が言うので試してみたところ、いくら飲んでも酔わないのでボトル一本を空けてしまい、仕方がないのでその後で焼酎を飲み直したこともあったくらいだ。

アルコールに強いのはまさに父親の血であろう。

そしてもうひとつ自覚しているのは骨格だ。

とくに足などはそっくりだと思っており、自分の足のすねを見ると父親を思い出すほどである。

父が亡くなって間もない頃、冬に帰省して家の周りを除雪したことがあるのだが、父が使っていた防寒着を身にまとっていたこともあってか、近所に住む人は父が生き返ったのか、幽霊でも見ているのかと腰を抜かさんばかりに驚いたと聞く。

身長もほぼ同じ、骨格もそっくりなので幽霊と勘違いされても仕方がないくらい周りから見ると似ていたものと思われる。

そんなこんなで、心からつくづく思う。

本当に血は争えないものである。