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想い出の居酒屋 其の壱想い出の居酒屋 其の壱

想い出の居酒屋 おしながき

暦の上では立秋も過ぎたというのに、相変わらず暑い日が続いている。そして相も変わらず食が細ったままである。

 麺類以外には特に食べたいものが思いつかないし、この暑い時に火を使うのも大変だろうということもあり、極力火を使わずに手軽に準備できるものが望ましいのだが冷奴、刺身などに偏ってしまうのが問題である。自宅での食事で苦労したり悩んだりするくらいなら外食ですませば良いのだが、困ったことに外食が苦手なのである。

 第一に注文をしてから料理が出てくるまで待たなければならない。”待つ”という行為が苦手ではないのだが、待っているあいだ何をしていれば良いのかが解らない。自宅であれば TVを見ているなり、ネット・サーフィンしているなりして時間をつぶすことができるが、外食ではそうはいかない。

 さらに、忙しそうにしている店員さんを見ると水をもらうのも、注文をするのでさえもタイミングに気を使ってしまう。かつて飲食店で働いた経験があるため、他のお客さんの「すみませ〜ん」という言葉に反応してしまうし、グラスの水が少なくなってきたとか、食器と食器があたる音も気になってしまう。

 そんなこんなで気疲れしてしまい、食事が終わった後は一刻も早く店を出たくなってしまう。食後のデザートとかコーヒーなどを楽しむ心のゆとりがないのである。

 すでに 10年以上前になるが、毎週のように通っていた居酒屋がある。会社の仲間と 5-6人で週末には必ず寄っていたので、すっかり馴染んでしまい、その店では気疲れすることはなかった。店内では我家のように振舞っていたので気遣いもなにもあったものではない。

 ふだんは”おっさん”しかいない店に”若者(当時)”が来るのが嬉しかったのか、従業員の”おばちゃん”や店長までもがとても友好的だった。

 酔っ払いオヤジが注文だけして、まだ料理が出ていないのに清算を済ませて帰ってしまう。そうなると、できあがった料理は我々のものである。自分達はそれほど多くの注文をしていないのにテーブルには、あふれんばかりの料理が並んでいる。

 若さにまかせてワシワシとたいらげてしまうのだが、その食いっぷりがピラニアのようなのと、何でも「うまい、うまい」と食べる姿を見て「見ていて気持ちがいいわ」などと言いながら次から次へと注文もしていない「謎の料理」が登場する。

 試作品を食べさせられることもよくあった。「謎の料理」が出てきても、いつもの通りに誰かが食べる前に帰ってしまったものであろうと思ってワシワシと食べる。ところが「ん?」と思うような味の料理がたまにある。

 店長に「これ何?」と聞くと、「美味しかったらメニューにしようと思って」とぬかすではないか。実験台としてマズイ料理を食べさせられたのには腹が立つが、いつも”美味しい思い”をさせてもらっているので文句も言えず、「これはど〜かな〜」などと言って”判定”をくだしていた。

 困ってしまうのは、前週食べた”試作品”が翌週にも出てくる。「これはメニューに加えたら人気でるよー」などと誉めたたえ、機嫌よく酒を飲んだ後、清算してみると前週の”試作品”がしっかり売り物になっている。注文もしていないのに勝手に調理し、金まで取るとは何ごとか!と思うのだが、酔った勢いと、いつも世話になっているという思いから、だまって支払いをすませていた。

 店に行く前に電話して「金ない!1人2,000円以内でみつくろっておいて!」と言っておくと、とても 2000円とは思えない豪華な料理を用意しておいてくれたり、閉店まで飲んでいると店員さんが「○○方面に帰る人はー?」と言って方向が同じだと車で送ってくれる。

 金はないけど、貪欲な胃袋をもつ若者にとって、これほどありがたい店はなかった。その店では気を使うことも、早く帰りたいと思うこともなく、リラックスして気持ちよく食事をしたり、酒を飲む事ができた。

 もう何年も行っていないのだが久々に思い出し、あの店に帰ってみようかな〜などと少し感傷的に思ったりしている。

想い出の居酒屋