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時代時代

少し前、何度かJRに乗って30分ほどの町に行く機会があったのだが、帰りの電車は学校帰りの学生たちと同じになる。

ペチャクチャと話に花を咲かせる女の子、イヤホンを耳に目を閉じてジッと音楽に聞き入る男の子、寝不足なのか居眠りをする生徒、真面目に教科書を広げて勉強に勤しむ子など車内の状況は様々だが、圧倒的に多いのは携帯電話を操作している学生たちだ。

信じられないスピードで指が動き、あっという間に文章を完成させてメールを送信するのだが、これがまた信じられないほど短い間隔で返事が返ってくる。

現代っ子にとって携帯電話は必需品、コミニュケーション手段として必要不可欠な物なのだろう。

ざっと見渡した限り、従来からの携帯電話が 8割、スマホが 2割といったところであり、いくらスマホの普及率が高くなってこようと学生には高嶺の花といったところか。

実際、高校入学と同時に携帯電話を持つ子も多いだろうから、卒業までの 3年間は機種変更などしないだろうし、親から許してもらえないものと思われる。

親にしてみれば月額7-8000円ほどの固定費を払わなければならないのだろうから、スマホの購入など論外だと言うに違いない。

そんな状況であるのに隣のマユちゃんはスマホを手に入れている。

伯父である散髪担当のお兄ちゃんの話しでは、
「みんな持っているから」
という理由で親である妹ちゃんを説得したらしい。

みんなが持っているなどという理由は小学生から使う子供の常套手段であり、一番多く使われる交渉手段であるのに、まんまと買わせてしまうあたりはさすがにスーパー女子高生だと思う反面、幼稚な交渉手段を用いるあたり、やっぱり今どきの女子高生だと思えて可笑しい。

それにしても確実に時代は変わった。

昔は携帯端末などなかったのはもちろんだが、仮に存在したとしても本体価格 5-6万もするものをポンと我が子に買ってやり、毎月7-8000円も通信費を負担する親などいなかっただろう。

ポケベルからケータイに変わり、ネット接続が可能になって通信速度が向上し、スマホが登場するまでをリアルに体現してきた世代が親となっている現代だからこその潮流か。

時代が変わったといえば、昨日の昼はマクドナルドで食事をしたのだが、店内は中学生でいっぱいだった。

自分が中学生の頃は町にマクドナルドやその他のファストフード店がなかったこともあるが、店が溜まり場になることなどなかったように思う。

もちろん、不良だった自分は喫茶店にも出入りしていたし買い食いするのも平気だったが、結局マサルなどは学生を卒業するまで学校帰りに喫茶店に寄るとか、暑い日にソフトクリームを買って食べながら帰るとかしなかったのではないだろうか。

そして、少なくとも中学生くらいであればマサルと同じようにしていた学生が多かったような気がする。

しかし、中学生たちを見ながらそんなことを考えていてふと気づいた。

そういえば自分が若かりし頃、ファストフード店で白髪頭のオッサンが食事をしているところなど見たことがない。

もちろん子供連れ、孫連れの家族単位でなら見たことくらいあるが、年配の夫婦だけでハンバーガーやピザ、パスタ専門店で食事する姿はなかったはずだ。

白髪頭のオッサンなど大衆食堂で昼間っから瓶ビールを横に置きながらカツ丼なんか食べていたものであり、小洒落た店になど入ってこない人種だったはずである。

時代の変化、食文化の変化で人の生活様式も変わる。

昔は有り得なかったことをしているのが自分。

若者が集う店に平気で出入りし、若者が好む食べ物を平気で食べる。

そう、実は自分たちも時代を変えている張本人だったりするのである。