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対象年齢対象年齢

最近のCMは誰に向けたものなのか分からない。

法人向け会計ソフトであるJDLの出納帳など、どう考えても、誰がどう見てもビジネス向けソフトウェアなのに
「あんなこともできるんだ!」
「こんなこともできるんだ!」
「すごいねぇ~!」
などというアニメキャラがアニメ声で会話する。

そんな軽いノリで会計ソフトを宣伝した場合、ともすると信頼性を損なうのではないかという危惧を抱かないのか実に疑問であり、そんなCMにGOサインを出した上層部も何を考えているのだろうと思ってしまう。

そんなCMを見て大の大人が興味をもつのだろうか。

大阪で聴いていたラジオで流れていたCMも似たようなもので、
「みんなぁ、おいでよ~っ!」
と、アニメ声の声優が呼びかけるが、それは結婚式場のCM。

ピカチュウが百貨店の屋上に来るとかキティちゃんがやってくるとか、ヒーロー戦隊が大型スーパーの駐車場で大暴れして悪者をやっつるイベントが開催される訳ではないだろう。

晩婚化が進んでいるというのに新郎新婦となる人の精神年齢が低いのか、そんな呼びかけにつられて式場を決めるような男女には結婚などしていただきたくない。

そんな夫婦に子供が生まれたら近い将来、ほぼ間違いなくモンスターペアレントになり、そのくせ給食費は払わないとか年金未納とかは平気な周りから理解不能な夫婦となるのではないかと余計な心配すらしたくなってしまう。

CMを製作する企業も、それを請け負う広告代理店も、もう少し真剣に話し合い、製品、サービスを提供する相手の対象年齢、性別、利用シーンを熟慮した上でどのようなコンセプトの内容、映像にするのかを決定すべきだ。

こんなことを思っているのは自分くらいなもので、耳がキンキンしそうにかん高いアニメ声で宣伝されても違和感を覚えない人が圧倒的に多いのかも知れないが、そうなったらそうなったで世の中どうなってしまったのかと一抹の不安を覚えたりしてしまう。

キリンが先陣を切って発売し、その後に類似商品がこぞって世に溢れ出すほど人気を博したノンアルコールビールだが、これの対象年齢はどうなっているのだろう。

アルコールが一滴も、0.01%も含まれていないのだから理論的、かつ常識的には高校生が飲もうが小学生が飲もうが誰のとがめも受けるものではない。

子供用のシャンパン風飲料であるシャンメリーでさえ製造メーカーによって 0.4%ほどのアルコールを含んでいるし、甘酒には物によって 8%程度残存しているが、子供が飲んでも法に触れないし親から叱られることもない。

そう考えるとノンアルコールビールだって堂々と飲んでも構わないはずなのに、どういう訳か子供に馴染まないのは大人向けの製品であるのが原因か。

かなりビールに近い味がするらしいので子供が好んで口にするものではないのも一因だと思われるが、ノンアルコールビールの爆破的ヒットに気を良くしたメーカーが相次いで投入したノンアルコールカクテルに至っては単なるジュースでしかないのだから子供も喜んで飲むのではないかと思われるのにCMはあくまでも大人向けだ。

350mlで 120円前後と、価格帯だって普通の炭酸飲料とかジュース類と大きな差はないのだから、これからのクリスマス、年末年始の家族パーティーに向けて子供から大人まで飲める乾杯飲料として大々的に宣伝しても良さそうなものだと思うのだが、どうやらそんな動きはなさそうだ。

それはつまり、各社とも法的には何の問題もないにせよ、ノンアルコールビール、カクテルは大人向けの商品であるという明確なコンセプトを持っているのだろう。

最初に書いた会計ソフトメーカー、結婚式場もそれに見習い、対象年齢を明確にすべきだと思うのは、やっぱり余計なお世話でしかないのだろうか。