バブル崩壊以降、多少の景気浮揚はあったものの、ずっと日本経済は低空飛行を続けている感が強く、足腰がしっかりしないまま危険なバランスを保った状態であるため、リーマンショック、ギリシャ、ドバイショックなどの外的要因に大きな影響を受け、なかなか株価が上昇しない割には少しのショックで大きく下落する状態が続いている。
数年前にデフレ脱却を宣言したが、実は好転の兆しが見えかけていただけで本格回復には至っておらず、いまも深く静かにデフレは進行している。
何年も前にも書いたが、デフレという病魔は簡単に克服できず何十年もの歳月を要するものらしく、うろ覚えではあるが 17世紀初頭にローマで発生したデフレは 40年間ほど続いたとされているし、産業革命後にイギリスで起こったデフレも 20年間くらい続いた。
そして、どちらも革命、革新的な社会構造の転換や作り直しによって、やっと経済復興に至った訳であり、現状のまま政治、経済の体制などを温存したままこの難局を乗り切るのは不可能であろうと思われる。
人はおぼろげながらでも、このままではいけないということを敏感に感じ取り、政治に強いリーダーシップを求めて小泉純一郎という総理大臣を誕生させたのであろう。
独裁的とまで言われても絶大な人気と広い支持を得て長期政権を維持することができたのは、人々が求めていたリーダー像と見事に合致したからにほかならない。
国民にとっての不幸は、小泉元総理に百年の計とか国家ビジョンというものが希薄で、真の目的が郵政民営化でしかなかったことにある。
それを成し遂げるといとも簡単に総理の椅子を明け渡し、当人はさっさと引退してしまった。
代わりに政界入りした息子の小泉進次郎氏という立派な人気者を遺伝子レベルで残してくれたことは功績であるかも知れないが、後継者として安倍晋三氏を事実上の指名に近いかたちで推したのはいただけない。
たしかに小泉氏が自民党をぶっ壊したのが原因かも知れないが、それからの政権運営は目を覆いたくなるほど惨憺たるものであり、このまま自民党に主導させていたのでは日本がどこに向かってしまうのか不安でならなかったため政権交代が起こって民主与党が誕生したのであろう。
ところが、いざ蓋を開けてみるとこの有様で、日本という国自体が迷走しており、すっかり世界から取り残されることになってしまった。
唯一の評価を受けた事業仕分けも実行力が伴わず、どの省庁、どの官僚もさっぱり言う事を利かず勝手なことをやっているのが明らかになっただけだ。
何とか実行できたのは中途半端に支給が開始された子ども手当くらいなもので、大風呂敷を広げた割には中には何も入っていないというお粗末な結果だけが国民の目に映る。
この先、日本がどこに進むのか分からず、いつになったら政治主導になって官僚の無駄遣いがなくなるのか分からず、年金がどうなるのか分からず、デフレが克服できるのかも分からず、どういう未来が待っているのか分からない。
そんな時代に子孫を残そうという意識は芽生えないどころか、本能的に絶対数を減らそうとするのが DNAに刻まれた生物の性(さが)であるからして、少子化に歯止めがかかるはずなどないだろう。
また政界の雲行きが何だか怪しげで、ナベツネがゴソゴソ動き、今や日本のリーダーとも思えない政治家を操ろうとしているようだが、国民の意志と乖離していることに気づかないのだろうか。
国民の求めるリーダーは政治家の中に見当たらない。
カルロス・ゴーン、星野仙一、小泉進次郎あたりを政府の要職に付けるくらいの大変革をしない限り、少なくてもそれくらいの意識改革をしない限り、デフレを克服して今の日本を救うことは不可能だと思われる。
この閉塞感を打ち破ってくれるのであれば、日本のリーダーが独裁者であっても構わないと思うのは自分だけだろうか。