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健康診断 2009 胃カメラ挿入編健康診断 2009 胃カメラ挿入編

「それじゃあ胃カメラをするところにいきましょうか」 との言葉にうながされ、スリッパのまま冷たい廊下をヒタヒタと進む。

途中、病院特有の無骨で大きなエレベータに乗り込み、ドアが静かに閉まる。

彼女は何も言わぬままボタンを操作し、階数を示すシグナルを見上げたまま動かない。

目的の階についたエレベーターのドアが静かに開き、再び細くて長く、冷たい廊下を歩く。

すでに覚悟を決め、諦めとも開き直りとも言える感情になっていたはずなのに次第に鼓動が速くなり、これから繰り広げられるであろう修羅場が頭をよぎって一気に不安と緊張感が広がる。

検査室に入ると、まずはこれからの手順書を読まされ、胃の中を鮮明に見えるようにするための白くにごった液体を飲まされる。

体を横たえるベッドに腰かけ、次にノドの感覚を麻痺させるゼリー状のものを口に入れられ、それを飲むように言われるのだがそれが実ににがい。

内視鏡を操作する医師が登場し、看護師と何やら打ち合わせをしている。

看護師の 「まるっきり初めてらしいです」 との言葉に医師は 「初めて!?・・・う~ん」 という会話がもれ聞こえ、それに続く医師の言葉を待ったが何も続かず、余計に不安が胸に広がり、ドキドキしながら医師の動きを目だけで追っていた。

そして、さらにノドの感覚を麻痺させるスプレーを口の中に吹きかけられたのだが、それがまた一段とにがく、とても美味しくなかったので顔をしかめていたら看護師さんに笑われてしまった。

医師から 「初めてなんですね」 と言われ、こっくりとうなずくと 「大丈夫ですよ、すぐ終わりますから」 とにこやかに言ってくれたので少し安心していると 「最初は苦しいですけどね」 などと 『ドS』 なセリフを言う。

とたんに表情が曇り、不安そうな顔をしたのだろう、慌てて 「苦しいのは最初だけです、入れるときにちょっと苦しいだけですから」 と医師は言葉を付け加えたが一度広がってしまった不安は簡単には取り除かれないのである。

いよいよマウスピースを装着され、口を閉じれない状態に固定されたままベッドに横たわる。

胃カメラの先端の LED が発光して周りと医師の顔を明るく照らし、それが徐々に近づいてくる。

よほど驚愕の表情を浮かべて先端を見つめていたのだろう、医師があきれた風に笑いながら 「目、つぶりましょうか」 と言うので慌てて目を強く閉じた。

そういえば昔、歯医者さんでも治療器具が口の中に迫ってくるのをジッと見ていて 「目をつぶってください」 と注意されたことがあるので、どうやら医療器具を見つめるのは自分のクセらしい。

そしてとうとう胃カメラが口の中に入れられ、ノドの奥に侵入してきた。

・・・それは同時に地獄への入り口でもあった。

検査室に響き渡る 「オ゛エ゛~ェェェ、オ゛エ゛~ェェェ」 というケダモノのような呻き声、溢れ出るよだれ、涙に鼻水、看護師の 「体の力を抜いてください!」「ゆっくり深呼吸して!!」というセリフ、医師の 「落ち着いてください!」「もう少しですよ!!」という声。

もう分娩室で赤ちゃんを産むような騒ぎである。

それでも最初の部分を通過すると、それ以降は少し楽になり、看護師や医師の言うとおりにゆっくり呼吸したり気を落ち着かせたりすることができた。

一気に最深部にまでカメラを入れて、少しずつ抜きながら内部を撮影するようで、最初は胃を少し抜けて腸の付近まで到達し何やらゴソゴソと機械を操作している。

次に先端部は胃の中に止まり、医師が機械を操作すると中でエアを噴出させて胃を膨らませる。

お腹がプクーと膨れてくると口から少しずつエアが漏れだし、再びノドに管が通っているのが気になりだして 「オ゛オ゛・・オ゛ガエ゛ッグ」 とゲップまじりの嘔吐感。

看護師と医師は慌てて 「もう少しですよ」 と声をそろえ、「くるしいですけどゲップは我慢してくださいね」 などと指示される。

それから間もなくしてカメラを動かし、胃の入り口付近を調べてやっと口から管が抜かれた。

マウスピースも取り外され、頭も心も真っ白の抜け殻になった自分はベッドの上で放心状態のまましばらくボ~ッとしていた。

そしてすぐに内部を撮影した写真を見ながら医師との話。

「基本的にすごく綺麗な胃ですよ」 (よしよし)
「色も人より綺麗ですしね」 (ふむふむ)
「で、一箇所ポリープがありましてね」 (えぇ!?)
「良性でガン化の心配もないんですけど」 (はぁ・・・)
「たまに急に肥大化することがありましてね」 (え、ええ)
「そうなると食べ物にこすられて出血することがあるんですよ」 (・・・)
「出血が続くと便が黒ずんだり貧血症になったりしますから」 (・・・・・)
「経過観察したほうが良いですね」 (そ、それは・・・)
「ただですね」 (え?)
「ポリープは小さいからレントゲンじゃ写らないんですよ」 (・・・?)
「これから胃カメラを毎年しましょうね」 (あ゛・・・)
「今日でこりました?」
「はい、懲りました!!」
「じゃあ来年は鼻からしましょうか」
「・・・・・・・・・・・・」

という訳で、毎年の胃カメラ検査を言い渡されてしまった。

トボトボと家に帰り、いかに苦しい思いをしたか 『お買い物日記』 担当者に切々と訴えてみたが、来年も検査するように言われるだけだった。

そして、それまでのプレッシャーから開放されたからか、あれだけ出ずに困っていた便が一気にドカンと出たのであった。

健康診断2009