嗚呼日本人 10

嗚呼日本人 ~目次~

いつから日本人は身勝手な人種になってしまったのだろう。

サッカーのサポーターが試合会場を後にする前にゴミ拾いをするとか、大地震、津波、原発事故の大災害で被災して家や財産を失っても略奪や暴動がおこらないなど、良い意味で世界を震撼させたりする国民性は誇れるものの、昔のゆずり合い精神は失われつつあるように思う。

赤ちゃんか老人かの天秤がそうだ。

何とか少子化を食い止める、待機児童解消、子育て支援、女性の働きやすい環境など次々に対策を打ち出しているものの少子化に歯止めがかからず日本の人口は減る一方であり、このままだと 2050年には総人口が約 9700万人に減少すると 国土交通省が発表している。

少子化が進めば高齢化が進むのは当たり前の話だ。

医療の高度化により日本人の平均寿命は倍ほどになったので、昔であればとっくに死んでいる年令になっても現役バリバリで働いたりしている。

そしてリタイアして年金受給者になっても簡単には死なないので国の支払額はかさむばかりとなっているし、死なないまでも若い頃より体のあちこちにガタがきているものだから病院通いが増え、医療福祉の額も膨大になったりしているのが現状だ。

もちろん、年金は必要なので安易に減額したりすべきではないとは思うが、医療費負担の増額をとんでもない話だと言って跳ねつけたりするのもどうかと思う。

日本に金がない、借金漬けであることは誰もが知っていることだ。

だれかが我慢しなければいけないのであれば、子どもを優先して高齢者は耐えるべきではないだろうか。

高齢者の負担額を一般と同様に 3割にすることで、その分を減税するとか子育て支援に充てるのが国益にかなうと思う。

こんなことを言えばお年寄りに叱られるかもしれないが、自分もすでに折り返し点を過ぎて遠くない将来には年金受給者となる身だ。

そうなったら色々と気に入らないことも腹の立つこともあろうかと思うが、日本の将来のため、子どもたちの未来のために我慢せよと言われれば、おのれの意見は引っ込めて申し入れを甘受することだろう。

お金があるに越したことはないし、生活が楽なのに越したこともないのは分かっているが、先のことを思えば自分など死なない程度に食べられたらそれで良い。

我を張り、利己主義的に振る舞うのは美しくないと思っている。

強欲とは無縁の無欲でありたい。

根本としては、国の無策、政治の無策が引き起こしたことであるから
「責任者でてこ~いっ!」
と声を大にして言いたくもなるだろう。

しかし、残念ながら年金運用で投資に失敗しても、事業の失敗で年金保険料 1,953億円を投じたグリーンピアを総額わずか約48億円で売却する結果になっても誰一人として責任を取らないのが官僚や政治家であるし、それを問題視して最後まで責任追及しない国民性である以上は、みんなで頑張って借金を返済するしかないのだろう。

だとすれば、景気を良くして歳入を増やす以外に国民ができること、それすなわち節約しかないのである。

景気悪化の要因となる恐れがあるため家計の引き締め、節約はよろしくないので、ここはひとつ、最も財政健全化の近道であると思われる医療費削減をみんなで取り組むのがよろしいのではないだろうか。

あっちが痛いとかこっちが痛いなどと言って、病院に治療に行っているのか知人と無駄話をしに遊びに行っているのか分からないようなことは控える必要があるだろう。

そして、そもそもあちこちが痛くならないように予防し、健康管理に努めることこそが医療費削減、国庫負担の軽減、財政健全化への最短ルートだと思われる。

これだけ健康に関心があり、朝から晩までテレビでは健康食品や栄養補助食品の CMが流れ、通販番組ばかり放送されている現在においては、
「そんなことは言われんでも分かってるっ!」
と文句を言われそうな気がしないでもないが・・・。

とにかく、昔と違って現代の日本人は身勝手な人種になってしまったと思う。

そしてやはり、誰に叱られようと、老人よりも子どもを優先すべきだと思えてならない。