デジタル化の波 Signal-8

デジタル化の波 ~目次~

先週の続きになるが、大きな災害に見舞われたとき、デジタル化しておけば損失を極めて少なくすることができるものが多いので、個人も行政も団体も真剣に導入を検討すべきだと思う。

病院ではカルテを損失してしまったため、治療の継続性が損なわれて困っているケースが多いが、やはり電子カルテをもっと普及させて医師会か厚労省かが数箇所のデータセンターにバックアップ機能を設け、データを管理すべきだと思う。

救出されても持病を抱えていたために命を落としてしまった人が少なからずおられるが、そんなことがあってはいけないし、せっかく救われた命なのだから大切にしなければいけないだろう。

スマートフォンや電子パッド、パソコンで電子カルテの情報さえ引き出せれば、個人がどのような病気を持ち、どのような治療がなされていて薬は何を処方されていたのか一目瞭然だし、不幸にして遺体として発見された場合も、歯医者さんのカルテが管理されていれば、治療の痕跡から身元特定もできる。

これは、ある程度の予算をとってでも実行すべきことではないだろうか。

市役所、区役所などの役場まで水没したため住民台帳や戸籍が消失してしまった地域もある。

賛否両論はあれど、はやり住基ネットから離脱するのは止めて電子化を進め、それを地方自治体、国が分散して管理し、どんな状況でもデータは残るようにすべきだと思う。

一部の反対論に流されて確固たるポリシーもないくせに住基ネットから離脱し、もしも戸籍や住民登録の情報を失ったら誰が責任を取るのだろうか。

以前にも書いたことではあるが、戸籍や住民登録関連の書類が手書きではなく印刷物として発行される自治体は、住基ネットに参加していなくても情報は電子化されており、データベース化されているということは本人が知らないだけで ID番号、つまりは一生の背番号が登録されいる訳である。

日本では、基礎年金番号、健康保険被保険者番号、パスポートの番号、納税者番号、運転免許証番号、住民基本台帳カードなど各行政機関が個別に番号をつけているが、どうせ番号をつけられるなら統一し、アメリカの社会保障番号のように何でも共通で使えるようにしたほうが便利なのに決まっている。

国民総背番号制などと言い、プライバシーだ人権だと騒わぐアホがいるが、バラバラではあるにせよ、すでに番号を付与されているのだから反対しても仕方ないだろう。

今回はネットという電子の世界がずいぶんと活躍した。

震災直後から一定期間、電話が繋がりにくい状態が続いたが、パソコンやスマートフォンで使える無料通話の Skype(スカイプ)は割と繋がりやすかったらしい。

持ち運びに便利なネットブックや電子パッド、スマートフォンを持っているなら Skypeをインストールしておくのが吉だろう。

Twitter(ツイッター)Facebook(フェースブック)も大活躍した。

現状をリアルタイムに知らせるサイト、安否を確認するサイト、避難所名簿の共有サービスなど様々ものが立ち上がり、ネットを使える人と使えない人では情報格差が大きかったものと思われるので、自分のアカウント登録(会員登録)までする必要はないまでも、いざという時に使えるようにお気に入りに登録しておくことをお薦めする。

そして、もうひとつのネットの功績は、ネット募金だけで数十億円という金額が集まったことだ。

それも災害発生から一週間で集まった金額だ。

そして、これは日本だけの集計分であり、世界中で実施されている日本に向けた募金活動の金額を合わせると、数百億円に達するのではないだろうか。

被災地の様子をテレビで見ていると、せめてもの思い出として写真を探している人が多い。

それを物理的な写真として保存するだけではなく、電子化したり、デジタルカメラで撮影した画像データを無料サービスのサーバーにアップロードしておけば思い出を失うこともないだろう。

もうデジタルカメラは珍しいことではなくなったが、そのデータを写真加工してモノとして残すだけではなく、データそのものを残しておいたほうが画質の劣化もなく、場所も取らないので便利であるし、今回のような災害を考えると写真にしたり CDや DVDのメディアにしておいても津波に流されたり燃えたり破損してしまっては意味がない。

もちろん手元に置いておいたり人に見せたりすることを思えば物理的に残すことも必要だが、そうした後にメモリーや HDDからデータを消去するのではなく、外部サーバーに預けておくのが良いだろう。

無料でデータを預かってくれるサービスは色々あるので代表的なものだけ列挙しておく。

SkyDrive(Microsoft提供)- 容量25GB
Windows Live Sync(Microsoft提供)- 容量4GB
Googleドキュメント(Google提供) – 容量1GB
quanp(リコー提供) – 容量1GB
Evernote(Evernote提供) – 容量60MB
SugaSync(BBソフトサービス提供) – 容量5GB
dropbox(dropbox提供) – 容量2GB 英語版のみ

単純に全サービスを利用したとすれば容量合計で40GB(ギガバイト)近くのデータを預けられ、400万画素の高画質写真でも 40GBあれば 2万枚ほど保管できるので十分だろう。

さて、いろいろと書いてはきたが、現代社会はもうデジタル化、ネット化を抜きにしては考えられなくなっているのではないだろうか。

多くの部分がデジタル化される将来においてはなおさらのことだろう。

好むと好まざるとに関わらず、切っても切れない関係にならざるを得ないに違いない。