デジタル化の波 Signal-5

デジタル化の波 ~目次~

いろいろなシーンで深く静かに広がっているデジタル技術だが、クレジットカード、電子マネーもそれの最たるものである。

昔は衣料品、バッグやアクセサリーなどの専門店、ちょっと格式のあるレストラン、ホテルくらいしか利用できなかったクレジットカードも、今や地方が地盤のスーパー、薬局、しまいには新聞の購読から公共料金まで決済が可能となり、100円単位の小額決済まで可能になったことから利用範囲は大きな広がりをみせている。

また、ネット通販の利用が増えたこともクレジットカードの利用率向上に関係しているだろう。

我家の場合、以前は 『いつもニコニコ現金払い』 をモットーにしており、クレジットカードを持っていたが、海外旅行で使う程度で普段は財布の厚みを増しているだけの邪魔な物でしかなかった。

ちょっと値の張る洋服を購入するときも現金で支払い、家電製品など大きな買い物をするときですら必要な金額を用意して現金で支払っていた。

カードを使うと現実感に乏しいため、金銭感覚が麻痺してしまって無駄な買い物が増えそうで怖かったのが一点と、カードローンの支払いに困って生活に破綻をきたす人や、借金地獄におちいる人のことなどをテレビで見て、意志の弱い自分がカードなど使うようになったら同じ道をたどってしまうのではないかという恐怖があったのでカード利用に二の足を踏んでいたのである。

そして、『お買い物日記』 担当者も同じくカード利用に消極的だったので我が家では長らくカードよりも現金が幅を利かせていた。

ところが今では買い物の多くでクレジットカードを使うようになった。

そのきっかけは 2008年2月、大阪から北海道への転居を決め、さまざま支払いにカードを使ったことだろう。

引越しにかかる運送関連の支払い、他界した義兄が闘病していた病院近くに借りたマンスリーマンションの支払い、居を移したことによって不足している様々生活物資の調達費、冷蔵庫など家電製品の購入、新型パソコンの購入、その他もろもろの支払いなど、銀行に行って現金を引き出すヒマもないくらいバタバタしていたこともあって可能な限りカード決済にして難局を乗り切った。

また、『お買い物日記』 担当者が大きな病気をしたときの入院費、治療費、入院に必要な品々の購入費、そして看病する自分の生活費など、ありとあらゆる場面でカードを利用し、抵抗感が薄れていったこともある。

そして、話しを聞くと長兄夫妻が実に賢くカードを利用しており、使い方によっては得になることを教えられたことも大きい。

それからというもの、カード利用で得られるポイントが 2倍になる日を選んで買い物をしたり、公共料金からネット関連の支払い、電車などの交通費、新聞代や処方せん薬局での支払いにいたるまで、何でもかんでもカードを利用するようになった。

近所で利用頻度の高いスーパーは3軒ともカードが使えるし、ドラッグストアや家電量販店はもちろん使える。

そんなこんなでカード使いまくりという状況にはなったが、ローン地獄におちいることは避けたいという思いに変化はないので、すべて一回払いにして破綻から身を守ることだけは忘れていない。

クレジットカードと併せて急速に普及しているのが電子マネーで、イオン系のワオンやクイックペイ、大阪であれば ICOCA、東京であれば Suicaなど、使える場所がどんどん増えている。

この街で JR系のカード利用はないが、ワオンやクイックペイは便利に使わせてもらっている。

雑誌の購入からファストフードでの食事まで使えるところは全て電子マネーだ。

最近まで利用頻度の高いコンビニは現金のみだったが、ついにクイックペイが使えるようになったので、普段の生活では現金を持つ必要がなくなってきた。

これで定期的に通院している病院での支払い、百円均一の店がクレジットか電子マネーを導入してくれたなら、まったく現金を持つ必要がなくなる。

加速度的に進むデジタル技術が基板となって急速な広がりを見せる電子マネー。

あと数年もすると、子供への小遣いも携帯電話の電子マネーにチャージするのが普通になり、近所のたばこ屋さんから八百屋さんに魚屋さん、おばあちゃんが店番しているような学校近くの小さな雑貨屋さんにまでカード決済が導入され、この世から現金が消えるかも知れない。

そうなった時、街頭に立つ共同募金など成り立たなくなってしまうのだろうか。

路上ライブやパフォーマーで金を得るのは困難になるのだろうか。

善意を期待して座っているホームレスはどうなるのか。

神社などのお賽銭は・・・。

そう考えると現金の流通がなくなることはないのだろうか。