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モテ期モテ期

誰にでも一度は訪れると言われているモテ期。

男性であれば女性に、女性であれば男性にちやほやされる時期が必ずあるという。

ところが自分の場合はモテ期があったという自覚がない。

以前からこの雑感に何度も書いているように、若かりし頃は線も細く最長で腰までとどくような髪をしていたことがあり、その頃は男性からもの凄い勢いで声をかけられたりしたが、それは同性からのことなのでモテ期とは呼べないだろう。

さっぱり自覚がないのにマサルは
「中学、高校時代のおまえはモテてたよなぁ」
と言う。

そんなことを言われても、モテた記憶は 1ビットもないのでポカンとしていると、
「おまえのこと好きだっていうやつ山ほどいたぞ」
とか
「なんかファンクラブみたいなのもあったし」
などと言うではないか。

それならそうと、なぜ当時の自分に言ってくれなかったのか。

中学時代だって高校時代だって女子から告白されたことなど一度もないどころか、好きになった女子に告白しては玉砕するという日々を過ごしていた。

楽しそうに交際しているカップルを見ては彼女ができない自分にため息をついたりする毎日だったのである。

今までの人生を通してバレンタインデーにバリバリの本気チョコをもらったことなど、たったの 2個しかない。

チョコをもらってニコニコしている奴を尻目に、そんなことで喜ぶなんぞ軟派なやつのすることだとうそぶき、その裏でチョコが入っていないかと机の引き出しにこっそり手を入れては、食べ残した給食のカビたパンを掴んでガッカリしたりしていたものだ。

もちろん彼女がいた時期もあり、その際にチョコレートをもらったりしてはいるが、すでに交際しているので限りなく義理チョコに近く、それを渡すことによって告白とみなすような本気度満載のチョコとは違う。

そして、人生において女性を振ったことはなく、いつも振られて終わりになっている。

そんなこんなで何も良い思い出などないのでモテ期があったと思えない。

そもそも、そのファンクラブなるものが存在していたのであれば、いったいどこでどんな活動をしていたのか。

本人が知らないところで秘密裏に活動しているアングラ組織的なものがあったとすれば、それは嬉しいどころか多少の不気味さを覚えてしまう。

モテた記憶も自覚もないのは、子供の頃から男女を意識することなく、誰とでも平気で遊んだりしていたことが原因なのだろうか。

あまりにも近い存在だったため、そしてあまりにも仲良くしていたため異性を感じることができず、結果として相手が何らかのシグナルやオーラを発していても気づかなかったのかもしれない。

いや、そうではないだろう。

いくら自分が鈍感であっても、それなりの態度を示してくれたら気付いたに違いない。

つまり、身近にいて仲良くしていた中に自分に恋愛感情を抱いていた女子はいなかったのだと思うし、大人になってからも
「実は・・・」
などと昔ばなしで好きだったと聞かされたこともない。

自分はモテないと思っていたし、自分に自信もなかったのに、はるか昔のことを今になって
「モテてたよなぁ~」
とは何事かっ!

あまりにも悔しいので、そのモテ期だったという時代に何とか戻れないものかと、一刻も早くタイムマシンが発明されることを願ってやまないのである。

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