嗚呼日本人 ~目次~
一気に 1 リーグ制に移行すると思われたプロ野球だったが、ここにきて 2 リーグ制維持の機運が高まっている。 これが野球ファンのことを思ってのことであれば素直に称賛するのだが、どうやらセ・リーグ球団の収益が悪化する懸念があるというのが主な理由であるらしい。 バブル期以前のメーカーにユーザー不在の理論がまかり通っていたのと同様に、プロ野球はファン不在のまま物事が進行している。
ジャイアンツ中心に球界が回っているようだが、いつまでもジャイアンツ人気に頼っている場合ではないだろう。 第一、そのジャイアンツですら圧倒的な人気を誇っていた過去を忘れられずにいる。 テレビの視聴率も 20%以上を獲得していた時代は過ぎ去り、今では巨人 vs. 阪神で 20%にやっと届く程度で、その他のチームとの試合は 10%を割り込むことも珍しくないというのに。
そんなチームに依存しているばかりではなく、メジャー・リーグやサッカーのようにファンを大切にする改革を進めなければ、プロ野球は衰退の一途を辿ることになりはしないだろうか。 バブル崩壊後の日本企業が 「景気循環でそのうち良くなる」 と安閑としていて改革が遅れ、傷を大きくしてしまったのと同様に、プロ野球も改革を急がなければ手遅れになってしまうような気がする。
変化を好まず、危機的状況にならなければ重い腰を上げないのは日本人らしいが、熱しやすく冷めやすいのも日本人である。 プロ野球ファンが一気に冷めてしまったら立て直すのに長い年月を要するだろう。 今がプロ野球という機構そのものを改革するチャンスと、前向きにとらえて、より良い方向に進むことを願わずにはいられない。
しかし、2 リーグ制を維持することになった場合、近鉄はどうするのだろう。 買収を申し出たライブドアのことを無視したり鼻であしらったりしたのだから、今さら 「いやぁ〜ありがたい話で・・・」 などとは言えまい。 いや、そこは日本人であるから手の平を返したようにコロっと態度を変えるかもしれない。 このまま 2 リーグ制の維持が決定し、近鉄がどう動くのか見てみたいような気がする。
今回の一連の騒ぎでマスコミは傍観的な立場を装って事の成り行きを伝えているが、ジャイアンツ中心の報道を続けてパ・リーグの結果など小さくしか扱わなかったのだから、責任の一端はあるだろう。 それを棚に上げて偉そうな解説はしてほしくない。 権力や勢力のあるものには反抗しないで、がまんして従っていた方が得だという、『長い物には巻かれろ』 的発想も日本人らしいのではあるが。
在阪球団の危機だというのにマヌケなことしか言えない太田房江知事にも腹が立つ。 近鉄存続の危機が伝えられたとき、彼女はこう言った 「大阪はせっかく景気が回復してきたのに ”こんなことで” 腰を折ってほしくない」 と。 ”こんなこと” とは何事か。 近鉄ファンに失礼であろう。”こんなこと” と言っておきながらオリックスとの合併後は拠点を大阪に移してほしいと要請してみたり支離滅裂である。
ライブドアが買収を持ちかけ、「本社を大阪に移しても良い」 とコメントしたときも、「まず大阪に本社を移す気構えをみせてほしい」 などという馬鹿なことを言っていたが、本社を大阪に移せば近鉄を買収できる保証を ”彼女” はできるのだろうか。 いったい何を考えて発言しているのか分からないが、まがりなりにも知事であるのだから、もう少し頭を使ってからしゃべって頂きたいものである。
特定の宗教団体が圧倒的な力を発揮したとはいえ、彼女のような人が知事として選任されてしまうことを許してしまうのも日本人らしいと言えば日本人らしいのではあるが・・・。