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第一印象第一印象

過去の雑感に何度か書いたが、第一印象というのは大事なものであり、自分の場合は人から冷たく見られたり、怖そうに見えたりするらしいのでとても損をしているような気がする。 それが誤解であって、実はとっても心優しく人情味あふれる素敵なオッサンであることはなかなか理解してもらえず、付き合いも長くなってから 「第一印象と違いますね」 と言われることが多い。

人に対してのものだけではなく、店であっても最初の印象で好き嫌いが決定してしまう場合もある。 主人や店員のちょっとした仕草や態度で店自体がとっても気に入ったり、「二度と来るもんか!」 と腹を立てたりすることすらあるので接客業は大変だ。

国も同様で、出会った人やその国で暮らす人々から受ける印象で好きにも嫌いにもなる。 そこでオリンピックという一大イベントを目前にした中国がマナーの向上に国を挙げて力を入れている訳だ。 行ったことはないが、伝え聞くところによると順番を守らず列に並ぶことも知らなければ、信号をも守ることも知らず、店で人が手にしている商品を横取りするような人たちらしい。

世界中から人が集まるオリンピック開催期間にマナーの悪さで国の印象まで悪くなれば、その後の観光事業にも影響が出かねないので必死になって人民を教育しようとしているらしいが、今までの蓄積でそれが常識になっているので、残り一年程度で改善するのは難しいかもしれない。 一党独裁の国だから人民への教育が徹底し、見違えるような成果をあげる可能性も否定できないが。

自分が初めて大阪の土を踏んだのは出張で大阪本社に来た十数年前のことだが、その時に受けた印象は今でも忘れない。 空港から一歩外に出ると地獄のように暑い。 シャトルバスの中で女性二人がずっと喋っていたのだが、それがまるで漫才のようだ。 本社のある日本橋でバスを降りるとドブのような臭いとレゲエのオッサンが発する臭いで鼻が曲がりそうになる。

仕事を終えてから酒を飲むことになり、ミナミを歩いていると様々な信じられない光景が目の前に。 ある店の前には自転車が生けてある。 放置自転車に業を煮やした店のご主人が腹いせに積み上げたのだろうが、それがまるで前衛作家の手による生け花のような雰囲気を醸しており、思わず立ち止まってうず高く積まれた自転車を見上げてしまった。

少し先に進むと電柱の足を掛ける突起物に自転車が吊るしてある。 それも普通では手の届かない高い場所だ。 誰が何の目的で吊るしたのか。 さらに道を歩くと交差点の中央分離帯にある白線が引かれた場所、つまりゼブラゾーンに車が停まっていた。 同行した人によると、「場所が開いてるからちゃう?」 ということ。 ナンバープレートもない車が道路脇に停められていたのは 「捨てたんちゃう?」。

なんともはや、凄まじいことである。 帰りはホテルまでタクシーに乗ったのだが、窓越しに見える光景もすごい。 三車線の道路の中央の車線に車が停められている。 昼間は二重、三重の路上駐車になっており、それらが発進してたまたま道路の真ん中にある車だけ残った結果だという運転手さんの話し。 それを聞かなければ普通は理解できない状況だ。

途中、高速に乗ったのだが、その道路の真ん中には日本髪のカツラが落ちていた・・・。

そんなこんなで、大阪の第一印象は決して良いものではなかったが、ここまでデタラメだと好きとか嫌いとかを超越して可笑しさの方が圧倒的に勝り、まるで異国のような感じすら覚えたものである。 縁あって、そんな大阪に暮らすようになって早や十数年。 今では少々のことでは驚かなくなってしまったが、あの時に受けた印象は今でもずっと心の中に残っている。

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