何の番組か忘れてしまったが、テレビを見ていると料理の話をしており、料理が苦手な女の子が調味料の配分について
「そもそも 1対1 って何?」
とか言っていた。
確かに、その 1というのがどういう基準なのか。
それは 10cc なのか 100cc なのか分からなければ
「砂糖と酢を 1対1 で」
とか、
「同量を混ぜ合わせます」
なんて言っても意味がない。
1カップは何cc なのか、そもそも大さじとか小さじが何であり、それがそれぞれ何cc なのか。
計量カップというものや計量スプーンというものが売られているのだという根本的なことから教えてやらなければならないのは、何でもかんでもマニュアル化されている現代教育のひずみなのかも知れない。
切り方も同じだ。
『いちょう切り』
銀杏の樹も葉も見たことがなければ形すら想像できないだろう。
『拍子切り』
正確には “拍子木切り” であり、文字通り拍子木のような形状にするのだが、その拍子木すら見たことがなければ理解不能だろう。
『マッチ棒くらいの太さに千切り』
現代っ子はマッチすら見たことがないものと思われる。
昔はガスコンロの着火にもマッチが必要だったし、タバコを吸うのだってマッチで火をつけていた。
しかし、現在では電気の力でガスコンロは着火するし、IHクッキングヒーターが世の主流になればガスコンロすら骨董品になるかもしれない。
タバコは百円ライターがその役を取って代わり、マッチの姿を見かけることがなくなってしまった。
マッチ棒を見たことがなければ、
「その太さにせよ」
と言われてもできるはずがない。
『だし汁 2カップ』
上述したようにカップとは何ぞや、そして、だし汁と一口に言っても、かつお、こぶ、にぼしなど様々あるうちのどれなのか。
『ニンニク 1片』
だいたいどうやって読むのか。
文語的な表記法「にんにくいっぺん」、口語なら「にんにくひとかけ」 といったところか。
そして、ニンニクを見たことがない人には想像もつかないだろうが、簡単に言えば食べられる部分がミカンのように分かれており、その一房分が 1片となる。
ただし、日本産のニンニクは 1球(1個)が 6片に分かれているが、中国産のものは 9~12片に分かれているので量が異なる。
国産だと 1片が約 12g だが中国産は 6g と、倍も違うので注意が必要だ。
(参考:グラムのわかる写真館)
『調味料のさしすせそ』
最近は常識クイズみたいなテレビ番組が多いので、それが
砂糖(さとう)、塩(しお)、酢(す)、醤油(許容仮名遣の「せうゆ」に由来)、味噌(みそ)
だと知っている人は多いだろうが、さらに調味料を加える順番にもなっていることを知っている人はどれくらいいるだろう。
1. 甘味は浸透しにくいので砂糖を入れるのは早い方が良い。
(塩や醤油を先に入れてしまうと食材に甘味が付きにくくなる。)
2. 塩は浸透圧が高く食材から水分を呼び出すため、煮汁の味を決める初期に入れる。
3. 酢を入れるのが早すぎると酸味がとんでしまうので調理進行を見計らって入れる。
4. 醤油、味噌は風味を楽しむものなので仕上がり直前に入れるのが望ましい。
それを知らなくても本やホームページを見れば手順が載っているので完成させることができるが、やっぱり誰かがどこかで基本を教えておいたほうが良いだろう。
自分の場合は何度か書いているように、若かりし頃に厨房でのバイト経験があるので料理用語で困ったことはないが、現代のように情報が溢れている割には基準や基本を教えることが少なくなり、さらには基礎を知らない世代が親となって伝承することすら困難になっていると思われる。
これから先、頼れるのは料理本かネットしかないのか。