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北の味覚北の味覚

一昨年末までの出来事がまるで嘘であるかのように、昨年末にゆっくりと正月を迎える準備をすることができたのは、北海道に帰ってきて最初の年末年始であることから要領をつかむことができずに状況を静観していたことと、北海道で暮らしていた以前の記憶がさっぱりよみがえってこないことに加えて、『お買い物日記』 担当者の体調を考えて無理をしなかったことが要因だ。

いつもの年末、いくら大売出しがあろうとスーパーには普段より高い食材が並び、「どこが年末セールなんだ!」 と文句の一つも言いたくなるような価格設定に腹立たしさすら覚えたものであり、そういう事態を想定済みな 『お買い物日記』 担当者は事前に購入したカマボコなどを冷凍保存できないものかと試行錯誤したりしていたものである。

昨年末、北海道の場合は年末に近づくに従って食材の価格が高くなるのか、ハッキリした記憶がないまま 「今年は勉強」 と割り切り、事前の買いだめや準備をしないまま年末セールを迎えたのだが、その価格は一部の製品を除いて普段よりむしろ安くなっており、あの大阪での出来事はいったい何だったのかと大きなクエスチョンマークが頭上でボヨンボヨン揺れることとなった。

誰もが必要とし、消費期限の短いカマボコなどは年末ギリギリに買い求めるしか方法はなく、だとすればスポット的にその期間だけ価格を上げても消費者は諦めて泣く泣く購入せざるを得ない状況に追い込まれ、店側の思う壺であることは分かっていても 「まあ、せっかくの正月だから少々高くても」 という理由にも後押しされて財布の紐を緩めてしまう。

商売としてはそれが王道、定石なのであろうし、店側もそれで普段より大きな利益を得て楽しい正月を迎えることができるのであろうから、ある意味において仕方のないことだとも思えるが、北海道の場合は全く逆で、普段よりも安い価格で提供されることに多少の驚きを感じつつも、年末になって必死にやりくりする必要がないのは何とありがたいことかと感謝すらしてしまう。

きっと関西は商売優先、北海道は商売よりも 「みんなで正月を楽しみましょう」 的雰囲気が優先されるものと思われ、その点においては故郷である北海道の方が自分たちに合っていると、しみじみと感慨にふけったりした年末だった。

売られているものは肉、魚、野菜とも圧倒的に地元のものが多く、地元のものがなくても北海道産、それがなくても国産、それがなくてやっと輸入物という割合で、さすがに自給率 200%の土地柄だと感心してしまうのと同時に、全国的にブランドとなっている北海道の食材を新鮮なうちに、さらには安価で手に入れられることに対して感謝すらしたい気分である。

化学の味が嫌いなのでお節料理もなるべく手作りにしている我が家だが、作るのが超面倒だったりするものは既製品に頼っており、今回久々に地場産業の既製品を食べてみたところ、その味付けはやはり体に合っているらしく、もちろん関西風の味付けや京風の味付けも美味しかったのは事実としても、体に染み渡り、遠い記憶を呼び覚まされるような懐かしい味わいは最高だ。

空気や水、食材や味が体に合うか合わないかは最低限なことでもあるが、日々積み重なっていくものであるから最高水準の条件であったりするので、今のところはきっかけが何であったにせよ、北海道に帰ってきて本当に良かったと 『お買い物日記』 担当者と二人、心から喜んでいるところである。

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