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デジタル化の波 ~目次~

国民総背番号制、いわゆる共通番号(マイナンバー)法案を問題視する人は相変わらず多く、個人情報がだだ漏れだの何だのと騒いでいるが、そんな法案が通ろうが廃案になろうが大きな問題ではない。

現代社会においては、すでにプライバシーなどというものはなく、常に誰かに監視、管理されている現実をもっと知るべきで、そこから逃れられない以上はマイナンバーによって利便性が高まることを優先し、個人情報など諦めて受け入れるべきだと思う。

もちろんそれぞれの情報はセキュリティで守られているが、SONYやマイクロソフト、YAHOO!、Gooleなどの大手 IT企業や、アメリカ国防省などの機関ですらセキュリティを破られてサーバーへの侵入を許してしまうのだから、完全、完璧に安心できる情報管理など存在しない。

今、この瞬間も情報は流出しているが、多くの企業や組織はそれを認識していないだけのことだと思われる。

情報は流出してしまうものであるという前提に立つならば、すでに個人情報やプライバシーに意味はなく、すべてさらけ出してしまっていると思ったほうが良い。

例えば運転免許証やパスポート、社員証など顔写真付きの身分を証明できるものはすでにコンピュータで管理されているので、正確な住所や生年月日などの情報が得られる。

また、クレジットカードや銀行口座、キャッシュカード、普及が進んでいる電子マネーは偽名で取得するのは困難なので、そこにも正確な住所が登録されているのは間違いない。

それらの情報をハッキングできたら、どこの誰が何月何日に何を買ったか容易に検索可能になるばかりか、年単位で食材や食品の購入履歴を抽出すれば、食生活まで把握できることになる。

そこから健康状態や将来の発病リスクまで予想可能なので、予防のアドバイス、食生活改善の提案もできるし、発病のリスクによって保険の掛け金を変動させることだってできるだろう。

書籍や音楽、レジャー、娯楽用品の履歴から趣味嗜好を知られ、山のようなダイレクトメールが送られてきたり、ネットではそれ関連の広告ばかりが表示されるという事態になるかも知れない。

原則本名の Facebookは別として、ほとんどのサービスが匿名であることからブログや Twitter、2ちゃんねるに好き勝手なことを書き込んでいる人も多いだろうが、会社のパソコンを使うと上層部に筒抜けになっていることも多いので注意が必要だ。

現在、大企業の 70%以上、中小も含めた全体でも約 57%がパソコンの使用状況をモニタリング(監視)しており、その監視システムの性能は向上の一途をたどっているので誰が何をしたか、どんなサイトを閲覧したのかまで把握されてしまっている。

そのパソコンでは何月何日の何時何分に USBメモリーが接続され、どのファイルがコピーされたのか、いつどんなファイルが印刷されたのか、そのパソコンでどんな e-mailが送受信されたのか、ネットでどんなサイトをどれだけの時間閲覧していたのかなど、ありとあらゆる情報が監視され、数カ月、年単位で履歴が保存されていることも少なくない。

もちろん名目は企業の情報流出を避けるための監視だが、私用メール、ブログ、Twitterへの投稿などによるパソコンの私用の度が過ぎると人事評価に影響を及ぼしたりリストラの対象となる事例も出始めているのは確かだ。

個人宅のパソコンだって盤石ではなく、ネットの世界に入るためには必ずプロバイダが必要になり、そこにはネットの接続履歴が年単位というレベルで保存されている。

それを解析すれば年月日、時間、接続先、送受信したファイルから文字情報まで得ることができるので、匿名も何もあったものではない。

企業の監視データと社員名簿、プロバイダの接続履歴と契約者情報をハッキングし、上述したデータと合わせれば、さらに個人の情報はガラス張りのようになる。

そして、犯罪者の検挙にも大きな役割を果たしはじめた防犯カメラ。

都会であれば、家を一歩出た瞬間から目的地に到着するまでに最低でも数十、都心であれば数百から千の単位のカメラに撮影されることになるはずだ。

これからも増える一方で減ることはないであろう、この監視システムも犯罪抑止だけではなくプライバシーを十分に侵害してくれる可能性がある。

前述の運転免許証、パスポートなどは顔写真とともにデータ化されているので、現在では 90%以上の認識率になった顔認証システムと組み合わせれば、外出先での行動がすべて見られているのと同じだ。

マンションの出入り口、駐車場、地下歩道、店先、商店街、ATM、自動販売機、店内、駅構内などはおろか、最近では個人宅にも防犯カメラが設置されていることがあるので、どれにも映らずに行動することは不可能だろう。

氏名年齢、生年月日、現住所の基本情報のみならず、すべての行動、趣味嗜好、食生活まで知られ、e-mailやブログ、Twitterへの書き込みや携帯電話でのやり取りから思考パターンや思想まで解析され、誰が誰を好きで誰が嫌いか、殺意まで抱いている相手はいないのか、それを実行に移すほどの危険人物か。

そして、狙われているのは誰なのか・・・。

膨大な情報の処理能力がある巨大システムがリアルタイムに解析し、その人物を特定して犯罪、犯行を未然に防ぐ。

そんな内容の海外ドラマが 『PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット』 だ。

このドラマを SFだとみるか、明日にも実現可能な技術とみるか。

繰り返しになるが、各情報はセキュリティで守られているので簡単にはハッキングできず、今が情報流出、個人監視の危機にさらされている訳ではない。

ただし、ハッキングは簡単ではないものの、難しくないのが困りものだが・・・。

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