北海道に帰ってきて 5度目の夏が終わろうとしている。
ゆっくりではあるが、夏の終わりが近づいてきている気配だ。
まだ紅葉はしていないものの、少しずつ木の葉が落ちてきているし、柿の実もふくらみ始め、栗の樹にも実がつき始めている。
さえずる鳥の声も変わり、ちらほらトンボが姿を見せるようになってきた。
コスモスが風に揺れ、河原ではススキが穂をたれる。
ナスやカボチャ、トマトにトウモロコシなどの夏野菜が収穫期を迎えて地物が店に並ぶ。
サンマ漁も始まり、月末には秋鮭漁も解禁される。
大阪に暮らしていた頃は夏の終わりを待ち遠しく思ったものだが、北海道の短い夏が終わるのは少し寂しい。
その土地の気候風土には 5年もすれば慣れるものだと聞いていたが、確かに少しずつ北海道に順応してきているようで、大阪とは比較にならない程度の気温でも暑く感じるようになってきた。
それでもまだ生粋の道産子よりはマシで、室温が28度や29度だと暑くは感じない。
ただし、それには条件があり、湿度が50%台である必要がある。
29度でも60%を超えるとジメッと暑くて気分がよろしくない。
こちらの夏はカラッとしているので湿度が40%台のことが多く、そうなると30度を超えていても暑さを感じずに済む。
今季、室温が 30度を超えて湿度も 60%を超えることが 何日かあったのだが、その時はジトッと汗が出て実に気持ち悪く思ったものだ。
たしか 1年目も北海道にしては暑い夏だったが、大阪から帰った直後の身にとっては実に爽快で暑さなどそれほど感じなかったように思うし、2年目、3年目も周りの人が暑いと言う中、涼しい顔をして過ごしていたような気がする。
しかし、去年から不快に思う暑さを何度か感じるようになり、記憶が新しいこともあって今季はそれがさらに増えたように思う。
やはり少しずつ体が順応し、北海道のような気候でもそれなりに暑かったり不快に感じるようになってきたのかもしれない。
せっかく大阪で鍛えられ、北海道の暑さなど屁とも思わない体になっていたはずなのに、徐々に感覚も記憶も薄れつつある。
それでもまだ北海道に帰ってきてから汗がタラリと流れたことはない。
ジワッと汗をかくものの流れるように汗するほどの暑さを感じていないし、暑くて眠れなかったこともなく、体に汗もができることも、毎晩アイスノンを枕に寝ることもなくなったし、扇風機をつけたまま寝たのも 3日間くらいなものだ。
テレビやラジオで見聞きしたところでは、暑さで食欲をなくしたり寝不足になったりする人がかなりいるらしいが、我家の場合は食欲旺盛、夜も自分なりのペースで眠れている。
まだ暑さに対する免疫が残っていることと、薄れつつある感覚や記憶を呼び戻し、大阪の夏はこんなものじゃなかったと自分自身に言い聞かせているのが奏功しているのだろう。
今後も自分自身を戒めて大阪の記憶が消えないように努め、北海道に順応し過ぎないようにするつもりでいる。