『食べログ問題』 と言われるネット上でのクチコミ、ヤラセが問題化したのは数カ月前のことであり、消費者庁がそれを景品表示法に抵触するため違法という判断を示したのは先月のことだ。
クチコミ代行業者が事実と異なる書き込みをすることは好ましくないとの判断だが、店関係者が客になりすまして自分の店のことを良く評価するなどいうのは常套手段であり、近年のクチコミ情報サイトに限らず、たとえば当サイトの掲示板(すでに閉鎖)にすら宣伝まがいの高評価を投稿する店関係者はいた。
情報の伝達には IPアドレスという、いわゆる識別番号が含まれ、投稿された文章の見えない部分にもそれが埋め込まれているのだが、管理者はそれを読み取ることができ、どこの誰かはもちろん分からないが、この投稿とあの投稿は同一人物のものであるということは識別できるようになっている。
掲示板の書き込みで、あたかも複数の人が特定の店を高評価しているような投稿をしたように見えても、実はIPアドレスが同一、つまり一人で複数のハンドルネームを使って投稿していたりすることが度々あった。
目に余るほどひどい場合は削除していたが、2-3の投稿であれば営業努力と解釈して放置するものの、その内容は 『くちコミ情報』 に記載しないよう配慮するなど、できるだけ信頼性が高くなるよう努めていたつもりである。
しかし、このサイト程度の情報量であれば管理が容易でも、世にあるクチコミ情報サイトのような規模になれば管理が難しいので、なりすましや重複投稿を規制するのも困難だろう。
もちろんシステム的に同一のIPアドレスから同一の店に対して複数の投稿を禁ずることは可能だが、同じような文章であろうとも複数の店に対しての投稿であればチェックは難しいし、それを実現するためには膨大な処理が必要になってしまってシステムへの負荷が大きい。
あたかもクチコミ情報のように見せかけているが、実は宣伝目的で流す情報のことをステルスマーケティング、略してステマと言い、一定以上の効果や成果を得やすいものの、それがステマだと気づかれると反感を買って逆効果を生むというリスクも大きいので細心の注意が必要だ。
しかし、今日現在ではステマが横行しており、クチコミ情報サイトのみならず、世の中の掲示板、ブログ、Twitter、Facebook、Google+など、ありとあらゆる場所で隠れながら、こっそりと、隠密なる宣伝活動が行われている。
Facebook は原則本名での登録となっているが、あくまでも原則であり、偽名だろうとなんだろうと登録可能であるし、たとえ本名であろうと企業から依頼されて特定の商品や店を褒めちぎる文章を掲載して対価を得るなどという行為を規制することはできない。
つまり、どんな手段をもってしてもステマを封じ込めたり規制したりすることは不可能であり、その手の情報は店や商品を選ぶ際の参考程度にしかならず、決定するための貴重な情報源には成り得ないと思われる。
どんなに便利な時代になろうとも、どんなに情報が入手しやすい時代になろうとも、やはり一度は味わってみたり使ってみなければ本当のところは分からないだろう。
デジタルでバーチャルな世界ではなく、リアルな体験こそ一番である。