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記憶の欠落記憶の欠落

すっかり記憶力が衰えて芸能人の名前を覚えられないどころか二日前に食べたものさえ思い出せないような有様であるが、それは加齢にともなう衰えであるので世間的にも自分自身も仕方のないことだと認識したり諦めたりできることだ。

そんな欠陥が出始めた脳でも昔のことは良く覚えているものだという一説があるが、自分の場合の記憶はまだら模様であり、時期的に欠落している部分が多いのは、記憶をつかさどる脳の機能に問題があるのではなく、最初から情報を得ておらず、忘れてしまって記憶していないのではなく、元々インプットされていないという事柄が多々ある。

具体的には流行歌、その時代に流行っていた曲はところどころ抜けている。

最初に記憶がないのは中学生後半から高校くらいまでの流行歌で、不良仲間と遊ぶのに忙しく、テレビを見る時間などなかったのが原因でろうが、その頃に広く世の中に浸透していた時代を反映する歌を知らない。

次には 18歳から 21歳の 3年間ほど。

パチンコ、マージャンに忙しく、いわゆる J-POPなどさっぱり分からない。

パチンコ屋の BGMは懐メロ、入り浸っていた喫茶店の BGMは洋楽、いつも行く居酒屋の BGMは演歌、家には寝に帰るだけなのでテレビも見ない。

その後、コンピュータ業界に入ってからは帰宅時間が遅く、家のテレビもゲーム機と化していたので歌番組など見ることもなく、数年間は時代と共に流れた歌を記憶していない。

その次は 1992年からの数年間。

お買い物日記』 担当者の母親、父親、自分の父親が次々に入退院、闘病の末の他界ということが続いた上に自分の母親の入院、大阪への転勤、阪神淡路大震災、努めていた会社の倒産と怒涛の日々が続き、息つく暇もなく 5年が過ぎてしまったので、流行っていた歌などさっぱり分からない。

それから数年間も何かと気ぜわしく大阪で暮らしていたが、仕事先の事務所で FMラジオを聴くようになったので音楽と接する毎日を過ごしていたから思い出と共に音楽がある。

そして、北海道に帰ることに決めた 2008年、アメリカで暮らしていた 『お買い物日記』 担当者の兄の末期的病状の発覚、急遽の引越し、兄の他界と続いたかと思えば、今度は 『お買い物日記』 担当者自身の闘病生活。

それが落ち着くまでの 1年間、どんな曲が流行っていたのか覚えていない。

そんなこんなで流行歌に関しては断片的な記憶しかないのだが、今年に入ってからの情報量は実に膨大であり、邦楽から洋楽、K-POPに至るまで有料の衛星放送で聞きまくっている。

将来、過去のことを思い起こせば様々な曲を聞いたという事実だけは記憶しているに違いないと思われるが、問題は脳が老化しており、どれが誰の曲なのかさっぱり分からないことと、それが 2011年からのことであると覚えている自信がないことであったりするのである。

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