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プロフェッショナルプロフェッショナル

プロ野球の中継を観ながら、応援しているチームの選手がエラーしたり、打って欲しいときに三振したりすると 「アホか!」 などと悪態をついてしまうことは多々あるが、実際にプロの野球選手として活躍している人は人並み外れた身体能力とセンスの持ち主であり、さらに日々絶え間ない努力によって更なる技術の向上と体力の向上を図っている訳である。

口では文句を言いながらも、自分には 150km/h の球を投げることも打つこともできないし、とてつもない速さで飛んでくる打球を横っ飛びでキャッチすることもできるはずがない。 それどころかバッターボックスから一塁まで全力疾走する体力すらないように思う訳であり、ちょっと足が遅くてアウトになった選手に対して文句を言える権利などないのではないかと反省したりする。

どんな職業であれ、その道のプロというのは尊敬すべき存在ではあるが、中には変な意味でプロを自認する人がいるので、そこが少し困ったものである。

知り合いに禁煙のプロを自認する人がいる。 過去に何度となく禁煙に成功しており、「その気になればいつでも止められる」 とタバコをプカプカふかしながら豪語するのだ。 何度も禁煙したということは、それが長続きせずに何度も喫煙を再開したということであり、つまりは失敗の連続ということになりはしないだろうか。 その点を突いてやると、ムキになって 「ちがう!」 と言い張る。

いつでも止める自信があるから現在はタバコを吸っているのだと。 もし、止める自信がなければ金輪際タバコは吸わないと主張する。 もしかしたら正論なのかも知れないと、あぶなく言いくるめられそうになってしまったが、やはりおかしい。 彼の論法からいくと、禁煙する自信がない人は二度と吸わず、自信がある人ほど喫煙を再開することになる。 つまり、自信がない人ほど禁煙に成功する訳だ。

それでも彼は頑として 「いつでも止められる」 と言い放つのだから、次の目標には 『二度と吸わない』 を付け加えると良いだろう。 そうすれば完璧な禁煙が成功するものと思われ、禁煙のプロを自認できなくなってしまうかもしれないが、人から突っ込まれたり笑われたりすることもなく、肺ガンのリスクからも開放されるので、そんなに良いことはないのではないかと。

以前に勤めていた会社の同僚にはダイエットのプロを自認する奴がいた。 過去に何度もダイエットに成功しており、「その気になったらいつでも痩せられる」 のだそうだ。 これも上述した 『禁煙のプロ』 と同じで、何度もリバウンドを経験しているから、何度もダイエットを試みなければならないのではないかと思われるのだが、本人はムキになって 「ちがう!」 と言い張る。

いつでも体重を落とす自信があるから今は好きなだけ食べるのだと。 ボクサーじゃあるまいし、何度も減量を繰り返す必要はないのだから、一度痩せたら体型を維持すれば良さそうなものだが、「痩せる自信がなければ、こうやって好きなものばかり食べない」 とドスコイ状態の彼は胸や腹を張る。

恐ろしいことにプロを自認する二人の主張や論調は同じだ。 過去の成功体験が彼らに妙な自信を与え、結果的に同じ間違いを繰り返すことになっている。 それは企業にも通ずるものがあり、過去に殿様商売をしてハードの性能向上に突き進んで自滅した任天堂がそれを猛烈に反省し、DS や Wii を開発して成功、復活したような例は稀で、多くは過去の成功体験を踏襲して失敗を繰り返す。

いろいろと勉強になったりする面はあるが、禁煙にもダイエットにも興味がないので、今の自分には教訓を生かすことができそうにない。

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